アメリカ主導の新経済枠組み、自国保護優先で魅力欠く ASEANから加入は2カ国のみ

2022年5月14日 22時05分
ASEANとの特別首脳会議に出席するバイデン大統領=米ワシントンで(AP)

ASEANとの特別首脳会議に出席するバイデン大統領=米ワシントンで(AP)

 【ワシントン=吉田通夫】米国は東南アジア諸国連合(ASEAN)との特別首脳会議を通じ、アジアとの経済関係を強化するため近く発表する「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」を説明して引き込みを狙った。しかし米国が自国の市場開放に消極的なため魅力が薄いと判断する国も多く、ロイター通信によると、10カ国のうちIPEFに当初から加入するのはシンガポールとフィリピンのみの見通し。共同声明もIPEFに言及しなかった。

◆米はTPPに代わり提唱

 米国は、日本など11カ国による環太平洋連携協定(TPP)から脱退し、代わりにインド太平洋地域で経済的な関係を強める枠組みとしてIPEFを提唱。今回の首脳会議に合わせて訪米した各国の閣僚らに、米通商代表部(USTR)のタイ代表と商務省のレモンド長官が説明した。
 「貿易」「供給網」「インフラ、脱炭素」「税、反汚職」の四本柱だが、ルール整備が主体とみられ、経済連携協定で一般的な関税の引き下げは想定していない。米国が自国の産業や雇用の保護を優先して市場開放に消極的なためで、各国にとっては米国への輸出を増やすという実利は薄い。

◆ASEANはRCEP優先の動き

 アジア地域ではTPPや、日中韓など15カ国による地域的な包括的経済連携(RCEP)が既に発効しており、9割以上の品目の関税撤廃で合意済み。各国にとっては輸入が増えて国内産業が厳しい競争にさらされるリスクがある一方、海外に輸出を増やすチャンスもある。このため、ASEAN各国には、IPEFへの期待よりもRCEPなどの活用を優先する動きが広がっている。
 米国は今月下旬のバイデン大統領の訪日に合わせてIPEFを発表する見通しだが、既に貿易活発化や幅広い取引ルールを定めた協定がある中、米国主導の枠組みがどこまで割り込めるかは未知数だ。

関連キーワード


おすすめ情報

国際の新着

記事一覧