[たぬきの言い分] 埼玉県所沢市 山崎奈緒(48)
2022年5月15日 07時49分
◆わたしの絵本
◆300文字小説 川又千秋監修
[心配の種] 千葉県木更津市・主婦・64歳 輪鍋景子
テレビを見ても、新聞を読んでも、暗い気持ちになるニュースばかり目に入る。
心配性の私は、いろいろな事に不安がつのる。
日々、心配の種を拾い集めているようだ。
ある日、ふと思った。
この種を蒔(ま)いたら、どんな花が咲くのだろう。
真っ黒な花?
嫌な臭いの花?
蕾(つぼみ)さえ持たないかもしれない。
そう思うと何だかおかしくなった。
咲かせるなら綺麗(きれい)な花。芳しい香りの花がいいに決まっている。
どうせ拾い集めるなら喜びの種にして、たくさん蒔こう。
何だか周りを見渡す目も変わる。
まずは自分の心に明るい色の花が咲いた。
<評> 大小さまざま、ますます多様に、大量に、世界中にばら撒(ま)かれている、この類いの種。拾い集めていたらキリがありません。全部まとめて遺伝子を書き換え、幸せの種に変異させてしまいましょう。
[モノには魂が宿る] 新潟市中央区・無職・70歳 佐藤妙子
ひな人形に限らず、どんな人形にも魂が宿る。
だから、粗末にしちゃいけないと昔から言い伝えられている。
いや、人形だけじゃない。
枯れかけた植物も、話しかけたり、褒めたりしていると、元気を取り戻すと言われている。
それに加え、私は、家電にも魂が宿ると信じている。
役目を果たさなくなった中古の掃除機や冷蔵庫。
邪魔だ何だとあれこれ文句をつけ、そろそろ新品に買い替えようかと家族で相談した。
すると、どうだろう!
不調だった家電が、一夜明けたら元気を取り戻し、立派に働き出したではないか。
まだ大丈夫! と。
<評> 思い当たる方、多いのではないでしょうか。そろそろ買い替え時かな…と考え始めた途端、「まだ大丈夫!」と健在ぶりを主張し始める中古品たち。でも、どこかで思い切らないと何も片付きません。
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