「実質勝訴」グローバルダイニング社長ら評価 東京地裁、都の時短命令は「違法」判決

2022年5月17日 06時00分
 新型コロナウイルス禍の東京都による飲食店への営業時間短縮命令を違法とした16日の東京地裁判決。店舗の事情を個別に検討しないまま、駆け込みで命令を出した都の判断について合理性を認めず、原告側は「実質勝訴」と評価した。一方、都の賠償責任は認められず、原告側は即日控訴。感染抑制と行動制限の在り方を巡る審理は高裁に舞台を移す。(小嶋麻友美)

判決後、東京地裁前でボードを掲げるグローバルダイニングの長谷川耕造社長㊨と倉持麟太郎弁護士=16日、東京・霞が関で

◆「憲法を大事にするため」

 「(判決言い渡しで)請求棄却と言われがっくりしたが、要旨を聞くと、主張の75%は聞き入れられたのかなと」。原告のグローバルダイニングの長谷川耕造社長(72)は判決後の記者会見で一定の評価をした。
 時短命令が憲法の保障する「営業の自由」や「表現の自由」の侵害に当たるとの主張は退けられた。しかし、長谷川社長は、行政処分にあらがって訴訟を起こしたことについて「民主主義社会に生まれ、憲法を大事にする、そのための異議申し立てはやってよかったなと思う」と振り返った。
 同社は都内を中心にレストラン「ラ・ボエム」「モンスーンカフェ」など40店余りを運営。店の感染対策については「レストランは厨房(ちゅうぼう)で強い換気をするので、外から新鮮な空気が入る。どこにも負けない(感染防止の)環境だ」と強調した。

「コロナ特措法訴訟」の判決結果について話す原告の長谷川耕造グローバルダイニング社長(手前から2人目)ら=16日、東京・霞が関で

 弁護団長の倉持麟太郎弁護士は、判決が命令の要件を厳しく判断した点について「行政は個別の店舗を確認し、なぜ命令の必要があるのかを証明しなければならないことになる。専門家の説明だけでは適法にならないという判決だ。行政はそこにコストをかけてほしい」と指摘した。
 さらに「みんなが我慢しているから我慢すべきだという同調圧力の中、感染防止効果を見て判断すべきだと、裁判所が一線を守った。社会の風潮やマスコミにもボールを投げた判決だ」と手応えを口にした。
 原告側は小池百合子都知事の証人尋問を申請したが、却下された。水野泰孝弁護士は「証人申請を却下した上で、知事に過失はないとした点は不満。あらためて控訴審で証人申請し、きちんと法廷で話を聞きたい」と知事との直接対決に意欲を見せた。
◆大林啓吾・慶応大教授(憲法)の話
 今回の判決は時短命令の必要性を厳密に判断しており、新型コロナ特措法がそもそも権利制限を「必要最小限」と定めていることもあり、より厳しくチェックしたと言える。違憲とはしなかったものの、命令の必要性を検討する中で平等原則を踏まえて「公正性」に言及した点も重要な判断だ。
 東京都の判断にややずさんなところがあったからこそ踏み込んだ判決とも言えるが、命令の発出には慎重な検討が必要というメッセージを送った。今回は初めての命令だったこともあり都知事の過失責任は否定されたが、今後は国家賠償法上も違法とされる可能性がある。

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