【動画】「国際卓越研究大学」は「学術への政治介入引き起こす」学生らが反対訴え 18日にも法案採決へ

2022年5月16日 22時42分
 世界最高水準の研究成果が期待できる大学を「国際卓越研究大学」に認定し、研究費を支給する政府の新制度を巡り、東京大や東北大の学生らが16日、都内で記者会見し「研究が稼げるか、稼げないかで重視されるべきではない。大学は、金や利権でうずまく場であるべきでない」などと批判した。
 国際卓越研究大学の認定には「産学連携や寄付などで、年3%の事業成長」「重要事項を決定するための、学外者が多数を占める合議体の設置」などの条件がある。選考には、首相が議長を務め、閣僚や企業幹部、学者らでつくる「総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)」の意見も反映される。こうした枠組みを採り入れる法案が17日、参院の文教科学委員会で採決される見通しだ。

◆「若者の選択肢を狭める可能性がある」

 これに対し、東北大工学部4年の藍沢雄貴さん(22)は「法案は学問の総合的な発展を阻害する。年3%の事業成長を望む結果、学生の授業料が増える可能性がある。そうなれば奨学金に頼らざるを得なくなり、進学を諦める学生が出るなど、若者の選択肢を狭める可能性がある」と指摘した。

法案廃止を訴える、東北大工学部4年の藍沢雄貴さん=16日、オンラインの記者会見で

 また、東京大文科二類の2年生男子(20)は「『稼げる大学』というのをよこしまだと感じたのは私だけではないのでは。大学は見識を広め、可能性を広げる場であるべきだ。基礎研究や語学など、すぐには役立たない学問は大切で、ノーベル賞もそういうところから生まれた」と批判した。
 東京大理科一類の1年生男子(18)は「将来、理論物理学者になりアカデミアの世界で生きていこうと考えている。だが法案が通れば、外部の意向に研究が左右されそうだ。法案は、支援校の認定や運営に政財官界がかかわる仕組みで、学術への政治介入を引き起こす」と主張した。

◆約1万8000人分の署名

 大学教員らでつくるグループで、学生らに記者会見の開催を呼びかけた「稼げる大学法案の廃案を求める大学 4横断ネットワーク」の駒込武・京都大教授はこの日、国際卓越研究大学の制度を盛り込んだ法案の廃止を求める市民や教員ら約1万8000人分の署名を文部科学省職員に手渡した。
 法案は、衆院本会議で4月28日可決されている。5月17日に委員会で採決された後、18日にも参院本会議で採決される見込み。(望月衣塑子)

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