雑草にぞっこん 日比谷高・雑草研究部“ざっけん” 足元から広がる世界

2022年5月17日 07時07分

ヨモギを摘む(左から)日比谷高校雑草研究部の宮崎さん、岸本さん、河崎さん=千代田区で

 身近にある草花を調査し、ときには食べてみる。そんな高校の部活がある。都立日比谷高校(千代田区永田町)の「雑草研究部(雑研(ざっけん))」だ。全国的にみても珍しい部活だからか、最近は入部する新入生が多い。部員たちが取材に協力している漫画「ザッケン!」も人気上々で、単行本の第1巻が出版されたばかり。どちらの雑草研究部もいま活気づいている。

【調べて】校内の植物図鑑を示す森田さん

 「きょうはヨモギを採ってきて団子を作ります」と部員たちが向かった先は学校敷地内の植え込みだった。東京の都心部にある日比谷高校だが、ヨモギがあちこちに生えている。部長の宮崎瑞菜さんの「若葉だけ摘んで」との指示で葉を集める。ヨモギの近くにはドクダミやフキも。「紫の花はダイコンバナ、白いのはヒメジョオン」と岸本葵さんが説明してくれた。

【食べて】ヨモギを混ぜた白玉団子(手前)

 教室に戻った部員たちはヨモギの葉を細かく刻み、白玉粉と混ぜて団子作りに励んだ。出来上がった団子はほんのりヨモギの香りが。部員たちは「うまくできた」と、カラスノエンドウを使ったお茶とともにヨモギ団子を楽しんでいた。
 雑草研究部が発足したのは一九九八年。当時は雑草研究会だった。学校周辺の野草を調べ、図鑑や植物誌を作成していた。現在の部員は三年四人、二年十五人、一年二十人の計三十九人。この二年間は新入生部員が二桁になっており、人気の部活だ。
 雑草に対する研究活動も熱心に行われている。河崎聡太さん、姜悠彩さん、嘉屋愛実さん、渡部優花さんの四人は昨年、納豆がわら以外でもできるか調べた。「日比谷高校に自生するさまざまな植物を使ってみたが、納豆ができた」という。秋山知佳(ちか)さんはセイタカアワダチソウが他の植物の成長を妨げる「アレロパシー効果」をテーマにした。「根を乾燥させてすりつぶしたものはシュンギクの発芽を抑制させた」と話す。
 雑草の何が引きつけるのか。生徒会長も務める森田康介さんは「雑草といっても種類それぞれに特徴や個性がある。身近にありながら雑草研究部に入らなければ見過ごしている存在だった。調べていくと新しい世界が広がっていく」と力説していた。

◆漫画も登場

漫画「ザッケン!」初巻の表紙 ©上村奈帆/モノガタリラボ/プクプク/小学館 マンガワン/裏サンデー連載中

 日比谷高校雑草研究部が取材協力している漫画「ザッケン!」の第一巻が四月十九日に発行された。
 原作は映画監督で脚本家の上村(かみむら)奈帆さんとモノガタリラボ、漫画はプクプクさんが担当し、小学館が運営するスマートフォン向け漫画アプリ「マンガワン」で連載されている。上村さんが一年半前に企画を小学館に持ち込み、昨年八月から配信が始まった。
 第一巻は、高校入学後、夢中になれることを見つけられずにいた主人公の女子生徒が、植物の知識が豊富で身近な草花を愛してやまない女子生徒と出会い、廃部寸前の「雑草研究部(ザッケン)」を復活させようとするストーリーだ。
 上村さんは「日比谷高校のザッケンは全国的にみてもほかにない部活で、とてもおもしろいと思った。作品にスーパーヒーローは出てこないが、雑草には知られていない特徴や効能があり、登場人物と重ねるとドラマになる」と話す。

漫画「ザッケン!」原作者の上村さん(右)とマンガワンの黒田副編集長=千代田区の小学館で

 マンガワン副編集長の黒田泰子(たいこ)さんは「読者の反響は『テーマが斬新』が多い。小中学生にも読んでもらいたいので単行本化の際にすべての漢字にルビを付けた」という。
 巻末には日比谷高校に取材した様子もルポ漫画として掲載されている。
 文・桜井章夫/写真・隈崎稔樹、五十嵐文人
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