<社説>NATO申請へ 北欧の危機感の表れだ

2022年5月17日 07時53分
 北欧のフィンランドとスウェーデン両国が中立政策を転換し、北大西洋条約機構(NATO)に加盟を申請する。フィンランドのマリン首相、スウェーデンのアンデション首相が表明した。
 ウクライナに侵攻したロシアから自国を守るには、米国などNATOの軍事力が必要との危機感からだ。ロシアは自ら招いた事態を深刻に受け止める必要がある。
 NATOは、一加盟国が攻撃を受けた場合、全加盟国に対する攻撃とみなし、兵力使用を含めて反撃する「集団的自衛権の行使」を規定している。
 東方の国境約一千三百キロをロシアと接するフィンランドは第二次世界大戦では旧ソ連と二回、戦争となった。多くの犠牲者を出し、敗戦で国土の12%が割譲された。このため旧ソ連、ロシアとの関係も重視。NATOには加盟せず、対ロ協調路線を取ってきた。
 スウェーデンも中立を守り、NATOには非加盟だった。
 しかしウクライナ侵攻後、両国ではNATO加盟支持が半数を超えた。世論が方針転換を後押しした形となり、NATO拡大阻止をウクライナ侵攻の理由に挙げるロシアにとって裏目に出た形だ。
 新規加盟には全加盟国の同意が必要となる。欧米は両国の加盟を支持するが、トルコは国内の非合法武装組織クルド労働者党(PKK)を両国が支援しているとして加盟に懸念を示している。
 NATO加盟前にロシアの攻撃を受ける事態に備え、英国は両国との間で相互安全保障宣言に署名し、軍事支援を約束した。
 ロシアは両国のNATO加盟の動きをけん制するため、バルト海周辺への核配備の可能性を示唆しているが、軍事衝突に発展することがあってはならない。
 スウェーデン与党は加盟支持の一方、国内への核配備やNATO軍駐留には反対している。
 自国防衛に力を尽くすのは当然だが、軍事的緊張をこれ以上、高めるのは得策でない。ロシアの暴発を招かぬよう、関係国や機関には、平和共存の道を探る外交努力も引き続き求めたい。

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