再び全日本フィギュアへ 千葉・酒々井出身の吉岡詩果さん けがから復活向け県内で練習

2022年5月18日 07時00分

早朝練習後、新シーズンへの抱負を語る吉岡詩果さん=船橋市の三井不動産アイスパーク船橋で

 酒々井町出身のフィギュアスケート選手、吉岡詩果(しいか)さん(19)=山梨学院大二年=が、地元・千葉のリンクで新シーズンに向けた調整を積んでいる。昨季は故障で不本意な結果に終わったが、今年の大目標は十二月の全日本選手権に二年ぶり三度目の出場をすること。「夢の舞台に戻りたい」と意気込む。(中谷秀樹)
 吉岡さんは植草学園大付属高(千葉市)を卒業し、昨年四月、山梨学院大スポーツ科学部に進学。練習拠点を県内から小瀬スポーツ公園アイスアリーナ(甲府市)に移した。同施設は四〜六月が定期休業のため、現在は千葉県内で滑り込む。
 週二日は大学の対面授業、一日をオンデマンドで受講し、営業再開の七月まで下宿先の山梨と千葉の往復生活を続ける。「授業がある日は一日四コマのカリキュラムを組んだ。競技と学業を両立し、卒業したい思いも強い」と話す。
 「昨季は今までで一番つらかった」。シーズン序盤の昨年九月上旬、右足首付近の疲労骨折が判明。三年前も同じ箇所を故障しており、医師からは今回も練習過多が原因と指摘された。
 痛みをこらえて試合に出たが、右足のつま先で氷を突き上げ左足で踏み切る「三回転ルッツ」など、高得点ジャンプを跳ぶのが困難に。十月末、ジャンプ構成の難度を下げて臨んだ全日本選手権最終予選会は九位にとどまった。三年連続の全日本出場はかなわず、大学一年目のシーズンは不完全燃焼のまま終わった。

昨シーズンの吉岡さん(家族提供、©Eturo FURUTSU)

 一カ月の療養を経て氷上練習を再開。だが、持ち技のジャンプ全種類を練習できるようになったのは今年四月。担当コーチが「練習のオタク」と舌を巻く努力家は「けがを繰り返さないよう練習の質も大事にしたい」と、自分自身と向き合う。
 「今年は全日本選手権に必ず出たい」。吉岡さんが強く誓う理由がある。出身高校の植草完(たもつ)校長(当時)が今年三月、病気のため六十七歳で死去した。在校中、同校に部活動がないスポーツに打ち込む生徒の受け皿「校外活動部」の顧問を自ら務め、いざとなれば防波堤になってくれた恩人だった。
 二〇一九年の全日本選手権に初出場し、十位で新人賞に選ばれた時、「本当の孫みたいに喜んでくれた」と懐かしむ。進路では、誘いがあった東京都内の強豪校ではなく、練習環境優先で山梨を選ぶ時も悩んだ。「何かあったら千葉に帰っておいで」。校長先生のひと言が支えだったという。
 国内トップを決める全日本フィギュアは、北京五輪銅の坂本花織選手らシード想定の選手が十人ほどいる。三十人の出場枠は狭き門だ。「初出場の時、たくさんの人の前で滑って今までで一番気持ち良かった。あの舞台にもう一度立ち、植草校長や支えてくれる皆に感謝を伝える演技を見せたい」。故郷・千葉から復活の一歩を踏み出す。

関連キーワード


おすすめ情報