参院憲法審査会・発言の要旨(2022年5月18日)

2022年5月18日 19時28分

18日開かれた参院憲法審査会(朝倉豊撮影)

 参院憲法審査会は18日、参院選で隣接県を1つの選挙区にする「合区」について討議した。主な発言の要旨は次の通り。

◆説明聴取

 岡崎慎吾参院憲法審査会事務局長 参院定数訴訟における一連の最高裁判決で違憲判決はないが、1996年大法廷判決は最大格差6.59倍の投票価値の不均衡について、違憲状態の判断を示した。その後も最大格差は5倍前後で推移し、2012年と14年の大法廷判決では、再び違憲状態の判断が示された。合区制度導入後に施行された16年と19年の選挙について、最高裁はそれぞれ合憲の判断をしている。
 12年判決は都道府県を参院の選挙区の単位としなければならない憲法上の要請はなく、その仕組みを維持しながら投票価値の平等の実現を図ることは著しく困難になっているとの認識を示した。14年判決も都道府県を単位として各選挙区の定数を設定する現行方式をしかるべき形で改めるなどの立法的措置により違憲状態が解消される必要があるとの認識を示した。
 川崎政司参院法制局長 投票価値の平等は、各投票が選挙の結果に及ぼす影響力においても平等であることを要求するもので、具体的には議員1人当たりの選挙人数ができる限り平等に保たれる人口比例を基準とすることが求められている。憲法上の根拠について、最高裁は法の下の平等を定める14条を中心に15条、44条を挙げる。
 投票価値の平等は唯一絶対の基準ではなく、国会が正当に考慮できる他の政策目的との関係において、調和的に実現されるべきものとしている。
 定数格差について、最高裁は何倍未満といった基準は示していない。投票価値の著しい不平等が生じ、相当期間継続しているにもかかわらず、是正措置を講じないことが国会の裁量権の限界を超えると判断される場合、憲法に反するとの判断枠組みを示している。

参院選で隣接県を1つの選挙区にする「合区」について討議した参院憲法審査会(朝倉豊撮影)


◆各会派の主な意見

 有村治子氏(自民) 最高裁判決では、投票価値の平等は唯一絶対の基準ではないと言っている。都道府県は歴史的、政治的、経済的、社会的、文化的にも意義と実態を有し、国民にとって重要な役割を果たしてきた。参院は全国比例選挙と都道府県を単位とする地方選出によって構成する価値を堅持し、合区を解消することが肝要だと考える。
 小西洋之氏(立憲民主) 最高裁は、参院が衆院と違う独自の機能を果たすために、必要かつ合理的な選挙制度であれば1票の格差だけで判断するものではないと言っている。二院制における参院の性格や機能をどう位置付け、それぞれの選挙制度に反映させていくかということを含め、国会の合理的な裁量に委ねられている。
 西田実仁氏(公明) 格差を拡大するような改革は、いかなる政策目的があったとしても、現行憲法を前提とする限り許されない。憲法が求める投票価値の平等という価値と地域代表的性格をどう調和させるか。私たちは、全国を11のブロック単位とする個人名投票による大選挙区制を提唱している。
 足立信也氏(国民民主) 憲法は各選挙人の投票が有する影響力の平等を要求している。(比例代表の)非拘束式に(優先的に当選できる「特定枠」を導入し)拘束式を混在させると、投票の影響力は不平等になる。(合区により)選挙区の候補者になれない者も民意に関係ない拘束式で当選することは、民意を踏みにじることだ。
 高木かおり氏(維新) 参院を地方の府と位置付け、憲法を改正し、都道府県から1人以上の選出を憲法に明記する案には賛同できない。憲法を改正してまで参院が地域代表制を導入する合理的な理由が果たしてあるのか。1票の格差をさらに縮小させるため、全国を11ブロックに分け、総定数を削減する改革案を示している。
 山添拓氏(共産) 一部の県だけが対象となる合区制度は不公平だと反対し、多様な民意を反映させる比例代表を中心とした選挙制度への見直しを提案してきた。憲法は選挙制度を設計する前提として投票価値の平等を要求している。一方、都道府県を選挙区の単位としなければならない憲法上の要請はない。
 渡辺喜美氏(みんな) 1人1票で議員を選挙することが「全国民の代表」の正当性の根拠になっている。1人1票で全国集計し、「何党は何人」と決める。拘束名簿でも、非拘束名簿でも、特定枠でも構わない。少数派を優先したいのであれば、政党の中で(当選者の)ルールをあらかじめ届けておけばいい。

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