侮辱罪厳罰化、衆院委で可決 正当な権力批判を萎縮させる懸念残したまま

2022年5月18日 20時33分
 インターネット上の誹謗中傷対策として侮辱罪を厳罰化する刑法改正案は18日、衆院法務委員会で与党と日本維新の会、国民民主党の賛成多数で可決された。19日の衆院本会議で可決されて参院に送られる見通し。表現の自由を不当に制約していないかを3年後に検証することを付則に盛り込む修正が行われたが、厳罰化で政治家などへの正当な批判を萎縮させる懸念は残ったままだ。

◆付則に「3年後の検証」盛り込む

 付帯決議も可決され、侮辱罪での現行犯逮捕は「実際上は想定されない」との政府統一見解を捜査機関や国民に周知するよう政府に要請。3年後の検証の際、公共の利害に関する場合は罰しない特例の創設を検討することも求めた。
 だが、実際に表現の自由を守る歯止めになるかは見通せない。立憲民主党の階猛氏は反対討論で「いかなる発言が侮辱罪に当たるか具体的に明らかになっていない」と指摘。共産党の本村伸子氏も反対討論で「悪質な誹謗中傷対策として効果が低い一方、正当な言論を萎縮させて表現の自由を脅かすもので到底許されない」と批判した。
 2020年に女子プロレスラー木村花さん=当時(22)=が交流サイト(SNS)で中傷されて命を絶ったことが法改正のきっかけとなった。政府案は「拘留または科料」となっている侮辱罪の法定刑に「1年以下の懲役・禁錮もしくは30万円以下の罰金」を加える内容。法定刑に「懲役・禁錮」が入ることで刑事訴訟法の規定によって逮捕要件が緩和される。(井上峻輔)

関連キーワード


おすすめ情報