<曇りのち晴れ>夫婦登山のたのしみ

2022年5月19日 07時22分
 年齢を重ねて早起きが苦でなくなり、夫婦で山登りをするのが楽しみになった。登るのは初級コースばかりだが、お互いに気を使わなくていいのが夫婦登山の利点だ。
 せんだっては、さあ登ろうという段になって雨がぱらつき、「やめるか…」と顔を見合わせ、ロッジでお茶をして帰った。他人となら、いくら仲良しでも「雨も弱いし、せっかくここまで来たのだから…」と無理をしそうなものだが、夫婦なら気兼ねなし、だ。
 登山中、無言でいられるのも良い。登っていて息が上がっている時に会話をするのはつらい。「倦怠(けんたい)期の夫婦にとって、いい趣味なんじゃない?」。冗談とも本気ともつかぬ顔で、妻がこちらを見つめる。
 それでも、登り切って真正面に富士山の絶景が広がっていたりすると、「うわっ、すごい」と言葉が思わず口に出る。さえぎるものが何もない富士山の姿は、ここでは表現できないほどの美しさだ。登山に言葉は似合わない…という気もするが、下りではいつもしゃべりすぎて、妻にあきれられている。 (鬼木洋一、54歳)
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厚い曇り空でも雲の向こうには必ず青空がある−
そんな思いを胸に、記者が暮らしの出来事を綴(つづ)ります。

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