<働くシニアの生き生き相談室>第2回 認知症の母 介護に悩み

2022年5月19日 07時23分
<相談> 認知症の母の介護に悩んでいます。昔は立派な人でしたが、今では飾ってあるひなあられを盗み食いするような人になってしまいました。人格が変わっていく母の面倒を見ることが苦しく、母がショートステイに行って留守にしている間が天国にさえ感じます。
 夫は、自分の親なのだから、私が仕事を辞めて世話をするべきだと言います。子供として責任は感じますが、仕事を辞める気はありません。
 周囲に親身になって話を聞いてくれたり、アドバイスをくれたりする人がいません。私だけが薄情なのかと自分を責めることもあります。この気持ちを誰に相談したらいいのでしょうか。ヒントをお願いします。 (55歳女性、医療職、東京都)

◆同じ悩みの人とつながりを

<回答者・小林悦子さん> 長寿を手に入れた日本ですが、それに伴って「認知症を持って生きる」ことや「病気を持って生きる」ことも増えています。この当たり前のことを「子ども・家族」だけで支えようと考えるのはやめませんか。
 私は難病の子どもを産みました。母親として強く責任を感じ、嫁として卑屈になり、子どもと一緒に死ぬことばかり考えました。しかし、それは母親のエゴでしかありませんでした。子どもを中心に考えると、社会が支えてくれていることを感じられたのです。
 主治医が同じ病気を持つ「家族会」につなげてくれました。同じ悩みを持つ人たちと出会い、私の悩みを笑い飛ばしてくれる先輩お母さんに支えられ、生きていく力を持つことができました。そして、今では支える側として生きています。
 ご自分を責めないでください。あなたは薄情ではなく、お母さまを尊敬しているからこそ認知症の進行で変わっていく姿を認めづらいのでしょう。多くの家族が同じ悩みで苦しんでいますが、やりたい仕事を辞める必要はないと思います。
 認知症の相談窓口はたくさんあります。まずは今利用されている介護保険サービスの関係者に「同じ悩みを持つ人の話を聞いてみたい」と依頼してはどうでしょうか。地域の認知症カフェなどを紹介してもらえることでしょう。そこにいる同じ悩みを経験した仲間に、あなたの気持ちや困りごとを話してみてください。きっとこの先のヒントが見つかります。 (定年後研究所監修)

<小林悦子さん> 1958年、横須賀市生まれ。難病の子の母となり幼稚園教諭から看護職へ。特養ホーム施設長などを経て看取(みと)り道先案内人。

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 「70歳現役時代」を迎え、定年後の働き方や転職、移住、社会貢献など、ミドル・シニアの疑問や悩みを募集します。人生の転機に転職や起業を経験した6人が交代で答えます。

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