原作・志の輔 & 脚本・森下佳子 新作落語下敷きに映画「大河への道」 江戸と現代、時空超えた物語

2022年5月19日 07時39分

「最後は特に自分の考えていたシーンを見事に再現してくれた。試写で泣いてしまったほど予想を超える感動だった」と恥ずかしそうに語る立川志の輔(左)。右は脚本の森下佳子

 映画「大河への道」(中西健二監督、二十日公開)は、江戸時代に正確な日本地図をつくった伊能忠敬の偉業を大河ドラマにしようとする市職員らの奮闘を描いたコメディーだ。立川志の輔(68)の新作落語を原作に、NHK大河ドラマの執筆経験がある森下佳子(よしこ)(51)が脚本を手掛けた。時空を超えた物語である、傑作落語の「映画化への道」とは−。 (藤原哲也)
 そもそも落語誕生のきっかけは偶然だった。
 二〇〇六年、落語会の帰りに千葉県香取市の伊能忠敬記念館に立ち寄った。志の輔は、そこで見た「伊能図」の正確さに「鳥肌が立った」と言う。
 「知らなかった自分も恥ずかしいけど、この偉業を伝えたいと思った。どうせなら落語で」。現代と江戸を行き来しながら一気に偉業を語り尽くす新作落語は一一年に完成。今や代表作の一つになった。
 この名演目に感動したのが本作の主演の中井貴一。企画から参加し、脚本を託したのが森下だった。
 既に映画化された「歓喜の歌」などもある志の輔の新作落語。森下は「人間のかわいらしさとかを見せることで笑いになっている。単純にめちゃくちゃ面白い」と魅力を語る。

映画「大河への道」より、(左から)松山ケンイチ、中井貴一、北川景子

 大河ドラマ「おんな城主 直虎」(一七年)など実績は豊富だが、「面白いものに囲まれるつらさはあった」。プレッシャーを感じながらも、「江戸と現代を一人二役でやる目標に向かって両時代の話を組み立てた。時間がかかったが、志の輔師匠からいただいたアイデアも大きかった」と振り返る。
 映画では、原作から時代劇の割合が大幅に増えている。志の輔は脚本の出来に驚いたという。
 「自分が原作者のはずだが、試写会では人ごとのように感動して涙していた」と明かし、「役者さんの笑わせ方と落語家の笑いの取り方は違うので新鮮だった」とも。自らの出演シーンについては「中井さんと松山(ケンイチ)さんに挟まれたら、もう何もできないでしょ」と笑いながら、落語家としての誓いを口にした。
 「私が描きたかったところから外れずに森下さんが盛り上げてくれた。いずれ原作として、またどこかで(落語を)やらせていただき、『あの映画の元はこれだったか』と思ってもらう時間も作りたい」
 東京・丸の内ピカデリーなどで公開予定。
<あらすじ> 千葉県香取市で、市職員の池本(中井貴一)のひと言から郷土の偉人、伊能忠敬を主人公にした大河ドラマ誘致の企画が立ち上がる。ただ、調べると、伊能は日本地図の完成前に亡くなっていた…。江戸と現代を舞台に地図完成に隠された秘話が明かされる。出演はほかに松山ケンイチ、北川景子、平田満、草刈正雄、橋爪功ら。

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