<社説>GDPマイナス 消費刺激へ減税も探れ

2022年5月19日 07時42分
 国内総生産(GDP)が再びマイナスに落ち込んだ。コロナ禍や物価高の影響で消費が低迷したためだ。財政出動の効果には疑問符が付いており減税による消費刺激も検討を始めるべきではないか。
 内閣府が公表した二〇二二年一〜三月期のGDP速報値は年率換算で1・0%減と二・四半期ぶりのマイナス成長となった。オミクロン株流行で「まん延防止等重点措置」が適用され消費が伸びなかったことが主因だ。
 実額ベースでも一〜三月期は一九年十〜十二月期を下回った。成長力がコロナ前の水準まで戻っていないことが裏付けられた形だ。
 政府は十七日、総合緊急対策の裏付けとなる補正予算案を閣議決定した。コロナ以降、政府の経済対策は五回目となる。
 政府の対策は現金給付ばかりが目立ってきた。しかし総務省が公表した二一年の家計調査では、貯蓄額の前年比増加幅が〇二年以降で最高となった。
 五月に入り電気・ガス料金を含めた生活必需品の値上げに拍車がかかる一方、賃上げの勢いは依然弱い。
 多くの国民が将来への不安の中で生活を切り詰め懸命に給付金をためている姿は想像に難くない。これではGDPの半分以上を占める個人消費が伸びるはずがない。
 今回の補正の財源は全額赤字国債でまかなう。だが政府・与党内で財政への影響を真剣に議論した形跡はなく、国債の乱発が常態化している。
 日米の金利差が広がって円安が進み輸入コスト増が一層物価を押し上げている。だが通貨安を抑えるために利上げをすれば、すでに膨れた国債の利払いが激増する。国債増発が金融政策の手足さえ縛っている状況である。
 このままでは下請けいじめを受けやすい中小事業者や、非正規労働者など立場の弱い層の苦境が深刻化するのは確実だ。
 財政出動は限界に来ている。まずは個人消費を回復軌道に乗せるため、所得税や消費税の減税をしてはどうか。個人消費が回復しなければ岸田文雄首相が言う「成長と分配」の好循環も生まれまい。

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