中国・ロシア対抗へ 「結束」の行方は-バイデン米大統領が初のアジア歴訪 新経済圏構想IPEFも発表へ

2022年5月20日 06時00分

バイデン米大統領(AP)

 バイデン米大統領は20~24日、韓国と日本を訪れ、日米首脳会談や、日米にオーストラリアとインドを加えた協力枠組み「QUAD(クアッド)」首脳会合などに臨む。中国やロシア、北朝鮮への対応を協議し、4カ国の結束を確認。新経済圏構想「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」の発足も発表する。(ワシントン・吉田通夫)

◆中国への「強いメッセージ」狙う米国

 「韓国や日本、クアッド、IPEFを通じて掲げる力強い同盟関係は、世界中に響く力強いメッセージになる。北京(の中国政府)にも届くだろう」。サリバン米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は18日の記者会見でそう語った。
 バイデン氏は23日に岸田文雄首相と会談、24日にはクアッド首脳会合に出席し、共同声明をまとめる。米国は国家防衛戦略で、中国を安全保障上の「最大の戦略的競合国」に挙げており、台湾などに対する軍事力を背景にした現状変更の阻止に向け、結束を打ち出したい思惑がある。
 試金石となるのが、ウクライナに侵攻したロシアへの対応だ。米国は、ロシアの侵攻を看過すれば「世界中で力による現状変更が横行する」(ブリンケン国務長官)と危機感を強めており、友好国が結束してロシアに反対することで中国への波及を防ぎたい考えだ。
 しかし、クアッドの一員であるインドはロシアと軍事面での関係が深く、一定の配慮を示してきただけに、足並みをそろえられるかが焦点。外務省幹部は「急に(インドの)方針が変わるとは思っていない。日米の視点を粘り強く説明していく」と語る。

◆中国排除の経済圏構想発表も米は関税引き下げ想定せず

 もう一つの目玉がIPEFだ。バイデン氏は訪日中に岸田首相と立ち上げを発表し、韓国などほかの参加国とオンラインの会合を開く。トランプ政権時に脱退した「環太平洋連携協定(TPP)」に代わり、中国に対抗する経済安全保障政策の柱に位置付ける。
 半導体の供給や開発、環境配慮型のインフラ整備などを加盟国間で補完し合う狙い。就労管理などに条件を設け、少数民族ウイグル族への強制労働が指摘される中国を事実上排除する。
 しかし、米国は自国の産業や雇用の保護を優先し、関税の撤廃や引き下げは想定していない。米国への輸出を増やす実利は薄く、支持が広がるかは不透明だ。

◆ICBM発射準備する北朝鮮 米は無条件対話提案するが…

尹錫悦大統領(AP)

 核・ミサイル開発を進める北朝鮮への対応も課題だが、今回のアジア歴訪で目立った成果を上げるのは難しいとみられている。
 サリバン氏は会見で、北朝鮮が、バイデン氏のアジア歴訪と前後して大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射実験や核実験に踏み切る可能性があると指摘。「韓国や日本と緊密に連携している」と述べた。
 バイデン氏は訪日前に韓国を訪れ、北朝鮮の非核化に厳格な姿勢を示す尹錫悦ユンソンニョル大統領と会談する。尹氏は米韓同盟の強化と日韓関係の改善を掲げており、米国は日米韓の安保協力の深化に期待を寄せる。
 しかし、北朝鮮との対話を通じた緊張緩和は難航。米シンクタンク「ブルッキングス研究所」のアンドリュー・ヨー氏は「バイデン政権は北朝鮮に無条件での対話を提案しているが、北朝鮮を交渉のテーブルに戻す力はない」と語った。

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