過労死認定の原発作業員めぐる賠償請求を棄却 仙台高裁、遺族「労働者守ることないがしろに」

2022年5月19日 21時50分
亡くなった猪狩忠昭さんの写真を前に会見する妻㊨と代理人弁護士

亡くなった猪狩忠昭さんの写真を前に会見する妻㊨と代理人弁護士

 2017年10月に東京電力福島第一原発構内で死亡した福島県いわき市の自動車整備士猪狩忠昭さん=当時(57)=の遺族が、東電や元請けの宇徳(横浜市)に救急医療体制が不十分だったとして計約110万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、仙台高裁(小林久起裁判長)は19日、両社への請求を棄却した。
 遺族側は、作業員に携帯電話を持たせるなど、猪狩さんが倒れた時に構内の医務室に連絡ができる体制がなく、治療を受けるのが遅れたと主張していた。死因は致死性不整脈だった。
 判決は、医務室に事前連絡ができず、放射線測定のために診療を受けるのが数分遅れたと認定。東電は連絡体制の整備に十分配慮すべきだったものの、厚生労働省のガイドラインでは診療までの放射線測定などの時間短縮を具体的に求めておらず、あらかじめ必要な措置を講じなかった過失は認められないと判断した。
 猪狩さんの妻(56)は判決後に仙台市内で記者会見し、「被ばくしながら働く労働者の命が失われたのに、なぜ東電や元請けの責任が認められないのか。企業として労働者を守るという1番大切なことがないがしろにされている」と話した。
 猪狩さんを巡っては、18年10月にいわき労働基準監督署が長時間労働による過労死と認定。裁判は1審判決で雇用先のいわき市内の下請け会社に約2480万円の支払いを命じた部分は確定したが、東電と元請けへの請求が退けられ、遺族が控訴していた。(片山夏子)

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