カプセルに続々 リアルトイに意図アリ 製品の姿、正確に後世へ伝える手段にも

2022年5月20日 07時10分

元の製品のメーカーからライセンスを取得してカプセルトイを作るケンエレファントの石山健三社長=いずれも千代田区で

 カプセルを開けるまでのドキドキ感を味わえる「カプセルトイ」。定番のキャラクターものなどに加え、実際の商品を忠実にミニチュア化したリアルトイ路線が勢いを増す。場所を取らず年齢や性別を問わず楽しめて「SNS映え」するのも人気の一因のようだ。
 「この半年ほどは、メーカーからの製品化オファーが殺到しています」。カプセルトイの企画販売会社・ケンエレファント(千代田区)社長の石山健三さん(59)は反響に驚く。ミニチュアになることで、ふだんは商品と接点が少ない層が目にする機会が生まれ、宣伝効果を期待できることも理由のようだ。
 二〇〇〇年の創業当初は、ペットボトル飲料のおまけのフィギュアなどを企画販売していた。リアルトイ路線への転換はおよそ十年前で、空港でのお土産として地元特産品などをミニチュア化。五年ほど前からは製造元の許諾を得て、元の商品をそのまま再現するシリーズに注力している。
 パンなどの食品、ファミレスのメニュー、家具などジャンルは多岐にわたり、今まで世に送り出したのは百シリーズ以上、点数では数百点にのぼる。ラジカセといったオーディオや魔法瓶など昭和の懐かしい製品は年配者にも人気という。「日常にあるものが精巧な姿で小さくなる。そこに驚きや魅力を感じる人が多い」と石山さん。
 「原型師」と呼ばれるスタッフが、元製品を採寸して3Dプリンターで原型を出力し、金型を製造。かたどった樹脂に着色する。縮小スケールは決まっていないが、直径七十四ミリのカプセルに収めなければならない。比較的大ぶりなソファのミニチュアは組み立て式にするといった工夫をこらす。
 石山さんによると特に難しいのは食べ物の着色。「なかなか食品サンプルのようにいかない」と、試行錯誤を重ねる。
 企画開発部課長の小嶋喜徳さん(48)は「少しでも本物に近づけたい。製造元が『ここまでやってくれたのか』と喜んでいただけた時がうれしい」という。
 製造元の反応は上々だ。「キンミヤ焼酎」で知られる酒造会社、宮崎本店(三重県四日市市)の酒は昨年、シャーベット状の焼酎「シャリキン」と一升瓶焼酎がミニチュアになった。同社の宮崎由至(よしゆき)会長は「ラベルの色が本物と全く同じで、印刷技術の高さに感心した」と話す。
 SNSの普及もリアルトイの楽しみ方の幅を広げている。都内に住む会社員の有光美紀さん(28)は、リアルトイの熱心なファンの一人。一カ月で一万円ほどを投じ、子どものころに遊んだドールハウスに並べてインスタグラムに投稿する。「こんなものがミニチュアになるのという意外感が楽しい」。お気に入りは食品のミニチュアだという。
 石山さんは「リアルトイミュージアム」を作りたいと考えている。リアルトイが製品の姿を正確に後世へ伝える一つの手段にもなっているからだ。「中でも、保存が利かない食べ物を立体的な形で残すのは意義があると思う」。今後挑みたいジャンルは、許諾を得るハードルが高い洋服や高級ブランド雑貨という。

◆SNS映え

デニーズのハンバーグ

純喫茶シリーズのプリン

◆昭和の家電回顧

給湯ポット。懐かしい家電や雑貨は中高年にも人気

VHSプレーヤーとラジカセ

◆商品アピール

ラベルの再現性も高いキンミヤ焼酎

山崎製パンのパン。実在の商品をそのまま小さく

 文・小松田健一/写真・木口慎子
<カプセルトイの歴史> カプセルトイ販売店運営を手がける「トーシン」(北海道帯広市)のホームぺージによると、日本で自販機が初めて設置されたのは1965年ごろで、米国からの輸入品だった。77年にバンダイが100円硬貨で購入する自販機「ガシャポン」を開発。70年代後半〜80年代前半にかけては「スーパーカー消しゴム」「キン肉マン消しゴム」が子どもたちの間で大ヒットした。現在は大手玩具メーカーだけではなく多数のメーカーが参入し、独自性を出してしのぎを削る。

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