<社説>コロナ検証会議 人選と期限に疑問残る

2022年5月20日 07時43分
 政府の新型コロナウイルス感染症対策を検証する有識者会議が発足し、本格的な検証作業に入った。
 岸田文雄首相は六月をめどに検証を終え、対応策をまとめる方針だが、期間は約一カ月しかない。感染症などの専門家も不在だ。限られた期間と知見で実のある検証ができるのか疑問は尽きない。
 新型コロナは日本で感染者が確認されて二年以上がたつが、いまだ収束していない。政府の対応が適切だったのか。検証して今後に生かすべきは言うまでもない。
 検証すべき課題は山積する。
 緊急事態宣言やまん延防止等重点措置は感染抑制に効果はあったが、飲食チェーンに対する東京都の営業時間短縮命令を違法とする判決が十六日に出た。私権制限は必要としても、慎重な運用を促したものともいえる。
 感染症対策としての行動規制はどこまで認められるのか。議論を深めておかなければならない。
 安倍政権当時には、専門家の意見を聞かずに一斉休校や布マスク配布を決めたこともある。
 対応が適切だったか否かを検証することは、専門家と政府との役割分担を再考する機会になる。
 患者の治療を巡っては医療機関同士の連携不足が露呈した。かかりつけ医の協力が不十分だったとの批判もある。検証を、感染症拡大時にも対応できる医療態勢の構築に生かさねばならない。
 マスク着用の見直しにも関心が集まっている。感染拡大時の行動制限だけでなく、状況が好転した際の制限緩和の在り方やその手順を示すことも、市民生活の混乱を防ぐためには必要だ。
 感染症などの専門家を欠く有識者会議の人選を、政府は「大所高所から中長期的な課題を洗い出してもらうため」と説明するが、十分に検証できるのか。国会に第三者委員会を設置して検証するよう求める意見も傾聴に値する。
 そもそもなぜ六月と期限を区切るのか。長い時間をかければいいというものではないが、夏の参院選に向けた形ばかりの検証作業に終わるなら、次の感染症を乗り切ることなど、とてもできまい。

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