「今は平和でいい世の中。40年後は…」 あきる野市で1982年に埋めたタイムカプセルを開封

2022年5月20日 12時00分
 40年前に埋められたタイムカプセルが今月、東京都あきる野市で掘り起こされた。合併前の旧秋川市の市制施行10周年を記念して埋めたもので、中には当時、小学4年生だった約900人が書いた作文などが入っていた。名簿が見つからなかったが、市がネットなどで呼びかけたところ、作文を書いた約80人が開封式に参加。50歳になった今、自身の作文に目を通し、よみがえる思い出に歓声を上げた。(佐々木香理)

タイムカプセル(左上)から取り出された小学4年生の作文などの記念品=東京都あきる野市で

 開封式があったのは14日。午前10時前、雨で足元がぬかるむ中、中央公民館横の広場で重機による掘削が始まった。40年前に多西小学校に通っていた沖倉英基さん(49)も作業を見守った。「作文を書いたことは覚えている。明るくて楽しい友達について書いたような…」とおぼろげな記憶をたどった。

自身の作文を手にする沖倉英基さん=東京都あきる野市で

 旧秋川市は市制施行10周年の1982年5月5日、タイムカプセルを広場に埋め、石碑を建てて50周年に開封することにした。カプセルに入れたのは、市の姿を後世に伝えるための行政資料などのほか、10周年にちなんで82年度に10歳になる小学4年生が書いた作文。市はその後、95年に旧五日市町と合併し、あきる野市になった。
 開封式を控えた昨年、市が資料を確認したところ、作文を書いた小学生の名簿が見つからなかった。「なくしたのか作らなかったのか、今となっては分からない」と市の担当者。そこで、40年前の記録映像を市のホームページに載せるなどして情報提供や開封式への参加を呼び掛けた。
 14日の重機によるタイムカプセルの発掘作業は難航し、スコップに切り替えて掘り進められた。作業開始から約1時間半。雨上がりの空の下、直径60センチの丸い灰色のカプセルが地上に運び出されると拍手が湧いた。

40年前に埋められ、市職員によって掘り起こされたタイムカプセル=東京都あきる野市で

 沖倉さんが書いた作文は「今は平和でいい世の中。40年後はどうなるんだろう」で始まり、習い事や家族に触れ、「100メートル走、学年で2位16秒2」との一文も。「記憶と違っていたが、子ども心に平和の良さを感じていたのだと思う」
 沖倉さんは市職員になり、現在は生涯学習推進課長。これまでの人生を振り返り「新型コロナ禍やロシアによるウクライナ侵攻などさまざまな問題がある今の時代だからこそ心に染みた」とつぶやいた。
 今は埼玉県狭山市で暮らす榎本智恵さん(50)は作文に「わたしも年をとっても、多西小のように健康でいたい」と願いを書いていた。多西小は当時、既に創立100年を超えていた。榎本さんは「40年、結婚や出産、いろいろ経験したが思った通り健康です」とほほ笑んだ。
 作文を書いた本人からの要望があれば、市は作文を送る。開封の様子はユーチューブの市公式チャンネル「あきる野フィルムコミッション」で公開する。カプセルに入っていた行政資料のほか、人気キャラクター「Dr.スランプアラレちゃん」「忍者ハットリくん」のシール、電話帳などは展示、公開することを検討している。

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