ポストコロナ時代の結婚式「ハイブリッド婚」って? 式場と友人宅などオンラインで結ぶ<まちビズ最前線>

2022年5月22日 06時00分
 新型コロナウイルスの感染拡大で結婚式の中止や延期が相次ぎ、打撃を受けたウエディング業界が、新しい結婚式の形を模索している。その一つが結婚式場と、来場できない友人らの自宅をオンラインで結ぶ「ハイブリッド婚」。画面越しに式場の新郎新婦にお祝いを伝えたり、他の参列者と会話を楽しんだりできるという。ポストコロナ時代の結婚式の形とは―。(押川恵理子)

結婚式場、オンラインそれぞれの参加者が双方向で交流できる「ハイブリッド婚」=いずれも八芳園提供

◆オンラインで1万人「参列」

 「乾杯」。式場の参列者と同時に、オンラインの参加者もグラスを上げた。5月中旬、結婚式場などを手掛ける八芳園(港区白金台)で開かれていたのは、同社が2021年4月から取り組む独自のオンラインシステムを使った「ハイブリッド婚」。画面には「テーブル移動」のボタンもあり、参列した親族や友人が別のテーブルを訪れて歓談するといった披露宴での「自由な交流」もパソコンやスマートフォン上でできる。

オンライン参加者の元にはコース料理の一部や飲み物が事前に届けられる

 八芳園では、今年1月までに挙式した約四割がハイブリッド婚を選択。計1万人が「参列」した。愛知県内の式場で行った20代の新婦は「1人でも多くの人に見てもらえてうれしかった。遠方からのスピーチは画期的で、盛り上がった」との喜びの声を寄せた。

式場の大画面に映し出されるオンライン参加者のスピーチ=八芳園提供

◆多様な要望に対応

 システムは、コロナ禍で人の移動や集まりが制限され、多くのカップルが結婚式の中止や縮小を余儀なくされる中、開発された。八芳園も20年には開業後初めて2カ月間の休業を迫られた。既存のビデオ会議システムと違い、リモートの参加者が1つのURLに入るだけで複数のテーブルに置かれる端末の間を自由に行き来し、会場の参列者と会話できるよう設計。現在では、自社以外にも全国の結婚式場10カ所で導入されている。開発に携わったDX推進室の原田貴誌室長(46)は「コロナ禍前も海外在住や入院中で結婚式に参列できない人はいた。ハイブリッド婚によって、(コロナ後も)さまざまな要望に応えられる」と語る。

ハイブリッド婚に向けてオンラインシステムのホストパソコンや映像配信用パソコンなどを調整するスタッフ=港区白金台の八芳園で

 リクルートの結婚トレンド調査によると、20年度の挙式や披露宴の総額費用(全国平均)は前年度より70万円減の292万3000円。今後も婚礼市場は、価値観の変化や人口減少の影響で縮小が予想されるが、リクルートブライダル総研の落合歩所長は「ハイブリッド婚など選択肢を増やすことで、顧客の満足度を高め、婚礼市場の活性化につなげてほしい」と話している。

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