<沖縄復帰50年>川崎と那覇、交流の発展願う 佐藤惣之助詩碑 再移設 首里城公園で記念式典

2022年5月21日 07時19分

再移設された詩碑の前で記念撮影する比嘉孝・川崎沖縄県人会名誉会長(左)ら川崎の関係者、左から2人目は再移設に取り組んだ山川宗徹さん

 沖縄を愛した川崎市出身の詩人佐藤惣之助(一八九〇〜一九四二年)の詩碑が最初に設置された那覇市の首里城公園に再移設されたことを祝う記念式典が二十日、同公園であった。どしゃぶりの雨で会場を屋内に移し、詩碑を贈った川崎と友好都市を結ぶ那覇の関係者ら約百五十人が出席。コロナ禍による延期も経て、復帰五十年の節目に、両市の関係者が一層の交流の発展を願った。(安藤恭子)
 詩碑は、惣之助没後の五九年に詩人が結んだ縁をつなごうと、沖縄出身者が多く暮らす川崎市民の浄財で那覇に贈られたもの。
 百年前に沖縄を巡った惣之助の「琉球諸嶋風物詩集」から、戦前の首里の風景をうたう「宵夏」の一節を刻み、赤瓦の意匠は、川崎市出身の陶芸家で人間国宝の浜田庄司が手掛けた。首里城復元工事に伴い九二年に那覇・虎瀬公園に移設されたが、両市民の要望を受けて昨年十月、首里城公園に再移設された。
 この日の式典には、川崎市からも市や川崎沖縄県人会の関係者ら約六十人が参加。川崎市民文化大使の民謡歌手伊藤多喜雄さんが、沖縄の愛唱歌でもある惣之助作詞の「美(うる)わしの琉球」を城間幹子・那覇市長らとアカペラで合唱し、詩碑の再移設を祝った。

「美わしの琉球」を一緒に歌う城間幹子那覇市長(右)と伊藤多喜雄さん(左)=いずれも那覇市の首里城公園で(川崎市提供)

 城間市長は、川崎市への感謝を伝え「両市のつながりが未来永劫(えいごう)続くことを願っています」とあいさつ。詩碑の再移設に力を尽くした那覇市の山川宗徹さんに、福田紀彦・川崎市長が感謝状を贈った。
 川崎市民の署名集めなどで再移設に協力した比嘉孝・川崎沖縄県人会名誉会長(74)は「皆さんの思いで大きく動いた。川崎の県人会ももうすぐ百年。今年ははいさいフェスタもでき、沖縄との交流が続いてきたことをうれしく思う」と感慨深げに話した。
 詩碑を巡る川崎と沖縄の「百年の絆」をテーマに映画を製作している那覇市出身の喜屋武靖監督(59)=東京都=は「伊藤多喜雄さんと沖縄の人たちが合唱する姿がとても心に染みた。次の百年につながる機会になった」と喜んだ。
 惣之助に関する展示を開催中の東海道かわさき宿交流館(川崎区)の小笠原功さん(78)は「惣之助が訪れた百年前の沖縄も、五九年の詩碑の完成式典の時も雨だったと聞き、『惣之助日和』だね、と笑い合った。川崎の高校生も修学旅行で訪れ、惣之助を未来につないでほしい」と願った。

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