<食卓ものがたり>優しい味で町おこし 各務原キムチ(岐阜県各務原市)

2022年5月21日 07時21分

ヤンニョムをハクサイに塗り込む吉田佳弘さん=岐阜県各務原市で

 日本でもすっかり定着した韓国の国民食、キムチ。「作り方ってあまり知らないでしょう?」。岐阜県各務原(かかみがはら)市の焼き肉店「大翔」の大将、吉田佳弘さん(64)が見せてくれたのは、多種多様な材料だ。
 大量の真っ赤な唐辛子にニンジンやダイコン、ネギ、タマネギ、オキアミの塩辛、果物のピューレ、ショウガ、ニンニクなどがずらり。それにイワシと昆布のだしを加えて混ぜると、おけの中は鮮やかなオレンジ色に染まり、おなじみのキムチの香りがふんわりと漂った。深みのある味を生み出すキムチペースト、ヤンニョムの完成だ。
 塩漬けして水を抜いたハクサイにヤンニョムを塗ったら、並べて寝かせる。今の季節なら常温で一日、さらに冷蔵庫で二、三日置けば食べられる。「うちのキムチは自然の素材を使っている。肉の邪魔をしないよう、優しい味付けです」と吉田さんは目を細める。
 同市は二〇〇三年、大ヒットドラマ「冬のソナタ」の舞台となった韓国・春川(チュンチョン)市との姉妹都市交流をスタート。翌年の関連イベントには、多くの人が訪れた。その勢いを食べ物を通じた町おこしに生かそうと考えたのが、キムチ作りだ。
 市や飲食店、加工業者、栄養学の専門家など産官学が力を合わせて「キムチ日本一の都市(まち)研究会」を設立。〇五年に誕生した「各務原キムチ」は、各務原、春川それぞれの特産であるニンジン、松の実を入れることが条件だ。辛いだけでなく、ほんのりまろやかな風味が後を引く。
 吉田さんは当初から研究会に加わり、普及に力を尽くす。韓国語を勉強し、現地で食材を探すなどキムチ作りは二十年以上になるが「まだ納得してない」。ハクサイは気温や厚みで塩漬けの時間が変わるなど扱いが難しい。「まだまだ研究中。でも、これが楽しいんです」
 文・写真 長田真由美

◆作る

 「キムチ日本一の都市研究会」は2005年の発足当時から、年に数回、市民向けに各務原キムチを漬ける講習会を開催。ホームページ(「各務原キムチ」で検索)では詳しい材料や作り方も紹介している。出来上がったらそのまま食べてもいいが、マヨネーズを絡めたり、ごま油をかけたりしてもおいしい。
 事務局担当者のお勧めアレンジはキムチ鍋だ=写真(研究会提供)。最初に各務原キムチと豚バラ肉を炒めるのがこつ。コチュジャン、すりおろしたニンニクを溶いた、だし汁に豆腐やニラ、長ネギ、炒めた材料を加えてさっと煮込めば完成だ。

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