ベートーベン、チャイコフスキーにマーラー。散歩を日課として…

2022年5月22日 07時01分
 ベートーベン、チャイコフスキーにマーラー。散歩を日課としていた作曲家は多い。「ジムノペディ」などの仏作曲家、エリック・サティもそうだ。パリの町を毎朝、歩き回る。着想を得るためだったそうで散歩中、アイデアがひらめくと小さなスケッチブックにメモしていた▼散歩の際にもう一つ、必ず持ち歩いていたものがある。カナヅチだそうだ。散歩コースには治安の悪い地区もあり、護身用にとポケットに忍ばせていた。さぞ、歩きにくかったことだろう▼カナヅチほどではないが、散歩や日常生活でのわずらわしさがある程度、緩和されることになる。新型コロナウイルス対策のマスクである。政府は会話する場合などを除いて屋外ではマスク着用の必要はないとする見解を発表した▼散歩やランニング、徒歩での通勤通学もマスクは不要。屋内でも人との距離が二メートル以上離れ、かつ会話が少ない場合はマスクを外すことができるそうだ▼マスク緩和にサティの軽やかなワルツ曲「ジュ・トゥ・ヴー」を口ずさみたくもなる。感染から身を守る道具とはいえ、長く続くマスク着用の生活は心の負担にもなっていたはずだ▼ようやく、ここまできたかと振り返れば、感慨深いが、コロナ禍はまだ収束しておらず、人混みでのマスク着用は今までと変わらない。カナヅチを携え、散歩に出たサティの用心深さの方もお忘れなく。

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