エジプトで小麦値上がり市民生活圧迫 世界最大の輸入国 ウクライナとロシアに8割依存

2022年5月22日 19時11分
5月中旬、カイロ市内で売られるアエーシ。小麦価格上昇の影響を受けて値上がりしている=蜘手美鶴撮影

5月中旬、カイロ市内で売られるアエーシ。小麦価格上昇の影響を受けて値上がりしている=蜘手美鶴撮影

 【カイロ=蜘手美鶴】ロシアのウクライナ侵攻に伴う食料危機への懸念が、各国に悪影響を及ぼし始めている。世界最大の小麦輸入国エジプトでは、侵攻開始以来小麦の価格が上がり続け、丸形パン「アエーシ」を主食とする市民の生活を圧迫。価格上昇が続いて中東の不安定化につながる恐れも指摘されている。
 5月中旬、カイロ市内の路上で市民らが焼きたてのアエーシを買い求めていた。20個入りの袋を買った会社員ファワズ・アルサイードさん(54)は「妻と3人の子どもがいるが、生活がかなり厳しい」と値上がりを嘆く。侵攻前は1個1エジプトポンド(7円)だったが、現在は1.5倍に上昇。月収3000エジプトポンドからの捻出は楽ではない。
 政府によると、エジプトは小麦の国内消費の約65%を輸入に頼り、うち8割をウクライナ産とロシア産が占める。国連食糧農業機関(FAO)によると、侵攻後は世界的に小麦価格が約20%上昇。ウクライナでは今年の収穫が見込めず、さらに高騰が予想される。
 エジプトでは人口約1億人の3分の1が貧困層とされ、多くが政府補助を受けた20個1エジプトポンドのアエーシに頼って暮らす。小麦の高騰が続けば値上げに踏み切らざるを得ないが、過去に政府が値上げを試みた際は反政府デモが起き社会が混乱に陥った。
 中東ではレバノンやシリアなどパンが主食の国がほとんど。中東政治に詳しい評論家ハッサン・ナファ氏は「アエーシの値上げはエジプトに混乱をもたらし、(中東の民主化運動)『アラブの春』の時のように、中東全体の不安定化を招く恐れがある」と指摘する。

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