世界的食料危機の懸念 グテレス国連事務総長「ロシアの侵攻がすべてを悪化させた」 ロシア「西側のせい」と持論

2022年5月22日 19時38分
18日、米ニューヨークの国連本部で、食料安全保障に関する会合に出席するブリンケン米国務長官(壇上中央右)と国連のグテレス事務総長(同左)=AP

18日、米ニューヨークの国連本部で、食料安全保障に関する会合に出席するブリンケン米国務長官(壇上中央右)と国連のグテレス事務総長(同左)=AP

 【ニューヨーク=杉藤貴浩】ロシアによるウクライナ侵攻が長期化し、世界的な食料危機への懸念が高まっている。「欧州のパンかご」と呼ばれる主要穀物供給国、ウクライナの港から出荷ができず、輸出が激減しているためだ。国連のグテレス事務総長は数カ月内に「何千万人もが栄養失調や飢餓に陥る恐れがある」として、各国が連帯して行動する必要性を強調。だがロシアは危機を招いた責任を認めず、事態打開の道筋は見えない。
 グテレス氏は米ニューヨークの国連本部で18日開かれた米国主催の閣僚級会合で、世界で食料不足に悩まされる人々が新型コロナウイルス拡大前の約2倍の2億7600万人に上ると指摘。原因には気候変動や格差問題なども関わっていると述べた上で「ロシアのウクライナ侵攻はこれらすべてを悪化させている」と危機感をあらわにした。
 国連によると、ウクライナとロシア両国は世界の小麦と大麦生産の3分の1、ヒマワリ油生産の半分を占める。最近1年で世界の食料価格はすでに約3割も上昇しており、ロシアによるウクライナ国内のインフラの破壊や黒海での海上封鎖による供給不足が、途上国などの飢餓に拍車をかけるのは必至だ。
 グテレス氏は両国や米欧、トルコなどと折衝し、事態打開を図る決意を表明。ブリンケン米国務長官は2億1500万ドル(約275億円)の新たな緊急食料支援を発表した。ブリンケン氏は、引き続き食料危機が議題となった19日の安全保障理事会会合でも事態の深刻化に危機感を示し「ロシア軍は世界とウクライナの何百万もの人々への食料供給を人質にした」と糾弾した。
 一方、ロシアのネベンジャ国連大使は「西側諸国がロシアに科した制裁が輸送ルートを混乱させた」と反論。海上封鎖についても「ウクライナが船の往来を妨げ、航路に機雷を敷設した」と独自の主張を展開し、危機の打開へ積極的に協調する姿勢を見せていない。
 会合には安保理理事国以外に日本を含む約60カ国が参加。大半の食料を輸入に頼る途上国も「ウクライナへの不法な侵攻はすでに苦境にあった世界の食料市場への圧力を増大させた」(フィジー)などとロシアを非難する声を上げた。

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