視覚障害者と晴眼者、ゲームで心一つに その名も「グラマ」 大学生グループが考案

2022年5月23日 07時03分

視覚障害者も晴眼者も一緒に遊べる 「グラマ」の体験会=いずれも中野区で

 大学生6人のグループ「Blined Project(ビーラインド プロジェクト)」が、視覚障害者と晴眼者が一緒に楽しめるゲーム「グラマ」を開発した。おもりの重さを言葉で説明し合い、てんびんに載せてつり合ったら「成功」。中野区で視覚障害者と晴眼者を交えて開かれた体験会をのぞいた。
 テーブルに座る四人のプレーヤーに、ビー玉やパチンコ玉などの「おもり」が詰まった巾着袋が配られる。
 テーマは「文房具の重さ」。「これはA4ノート一冊分くらいの重さ」「こっちは、消しゴム一個…いや、二個分かな」。四人は自分の巾着袋の重さについてやりとりを交わしながら、全員がイメージしやすい重さの「お題」を決めていく。今回は「ノート一冊分」。巾着袋の中のおもりを出し入れして重さを調整。準備が整ったら、四つの腕がついたてんびんに巾着袋を載せ、「せーの」で手を離すと…バランスが悪くて無情にも、てんびんは転倒。「あーっ」とため息が漏れた。
 「グラマの醍醐味(だいごみ)の一つは、勝ち負けがないこと。対戦型ではない協働ゲームなので、参加者の一体感が高まります」。Blined Project代表の浅見幸佑さん(19)=立教大二年=は言う。

「Blined Project」に参加する大学生たち。中央が代表の浅見さん(同プロジェクト提供)

 浅見さんは父親が福祉関係の仕事に就いていた影響もあり、障害者との共生に関心を持っていた。しかし、具体的な行動には結び付いていなかったが、大学で視覚障害者福祉の講義を受けたのをきっかけに、今年一月、グループを立ち上げた。
 メンバーは学外活動で知り合った学生や高校の後輩。浅見さん以外の五人は東京大、早稲田大、慶応大、中央大、津田塾大とバラバラだが、いずれも社会課題の解決に関心を持つ若者たちだ。
 「子どもは遊びを通じて、人間関係を学ぶ。幼いころから、ゲームを通して視覚障害者と接していたら、お互いの理解が深まるのではないか」
 そう考えた彼らは、ボードゲームカフェを訪ね歩いてアイデアを練った。想像以上に視覚に頼るゲームが多いことを痛感する中、思い至ったのが、「重さ」を軸にしたゲーム「グラマ」だった。
 テーマは「文房具店にあるもの」「コンビニにあるもの」など具体的な物の重さだけでない。時には「緊張度」や「感謝の気持ち」といった実体のないものの重さを取り上げることもある。視覚障害者からは「横断歩道を渡る時の緊張具合」や、「目的地まで連れて行ってもらったときの感謝の程度」などの提案も飛び出す。
 てんびんがつり合う確率は、どれくらいなのか? 浅見さんによると、これまでの体験会では三回に一回程度は成功しているという。その気になれば、相手の気持ちを推し量るのは難しいことではないようだ。体験会に協力した、日本視覚障害者囲碁協会の柿島光晴代表理事は「車いすの障害者や聴覚障害者ともグラマを体験してみたいですね」と話していた。
 「コミュニケーションを通じて、晴眼者も視覚障害者の気持ちに寄り添うことができるようになる。その体験をグラマを通じて味わってもらいたい」と、浅見さん。Blined Projectのメンバーが目指すのは、障害の有無にかかわらずてんびんがつり合う共生社会の実現だ。

<Q>お題の「重さ」を4人でイメージ

 おもりを出し入れ

 てんびんにそっと…

重さの調整が終わったら、4人一斉に巾着袋をてんびんに載せる

 せーの 大成功!!

見事に4つの袋の重さがそろい、喜ぶ参加者

 文・布施谷航/写真・内山田正夫
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