<かながわ未来人>ステージを実験教室に 世界一の「講師」目指す環境パフォーマー・石渡学(いしわた・まなぶ)さん(50)

2022年5月23日 07時05分
 ステージが始まれば、会場は実験教室に早変わり。茶色く濁った水にビタミンCの粉末を混ぜると、一瞬で透明に。段ボールの穴から煙を発射する空気砲で空気の動きや力を伝える。合間にジャグリングや皿回しを披露して観客を沸かせ、随所で環境問題にも触れる。独自の境地を確立したが、「世界一の環境講師を自分なりの形で目指したい」と試行錯誤を続けている。
 「らんま先生」の名で、二〇〇四年から環境問題と科学実験、パフォーマンスを融合した「ecoサイエンスステージ」を披露してきた。物珍しい内容が評判を呼び、横浜市青葉区を拠点に全国を駆け回って活動を展開。インドやスリランカなど海外にも足を運んだ。〇九年には環境省から日本初となる「環境パフォーマー」の認定を受けた。
 学生時代から環境問題に関心があり、大学卒業後の一九九五年、国際非政府組織(NGO)のボランティアとしてインドネシアの海辺で植林活動をしたが、木は全て折れて腐ってしまった。「現地の人が油やゴミを捨て、水が汚れたことが原因。ショックだった」。帰国後は教員をしながら、環境講演会に足を運んでいたが「先生の話があまりにも難しくて全然分からなかった。もっと楽しくできるんじゃないか」という思いが募り、教員を辞めた。
 趣味の大道芸と環境を混ぜたパフォーマンスを考えたが、うまくかみ合わない。父が理科の教師を務めていたこともあり、科学実験も加えてみると「接着剤的な働きになり、三つの要素がだんだんきれいになじんできた」という。
 インドネシアでの体験もあり、特に水を大切にすることを訴えている。「地球上の水を100とすると、安全でおいしい淡水は1%以下。日本では水を当たり前のように使えるけど、大事に使ってほしい」。自身の体験を語りながら、子どもたちに説く。
 新型コロナウイルスの感染拡大で年間二百回あったステージは約八割減少。大きな影響を受けたが、会員制交流サイト(SNS)を通じた発信はせず、自己研さんに努めてきた。「わざわざ足を運んでくれた人に良いものを見せたいし、笑顔をダイレクトに感じられるのが幸せですから」。今日もどこかで、らんま先生の授業が子どもを笑顔にしている。(酒井翔平)
<ecoサイエンスステージ> 環境問題と科学実験、パフォーマンスを取り入れた知的体験型パフォーマンス。子どもからお年寄りまで楽しめるように専門用語を用いず、身近なものを使った実験を行うのが主な特徴。2018年には、代表的実験の「空気砲」が飛距離などでギネス世界記録に認定された。

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