<社説>年金制度の改正 シニアの就労後押しを

2022年5月23日 07時27分
 シニア世代の就労を社会保障制度面から後押しするため、公的年金制度が四月に改正された。「人生百年」時代を迎え、働く六十五歳以上も増えている=グラフ。制度をきめ細かく見直し、働く意欲のあるシニアを支えていきたい。
 年金の支給開始年齢は原則六十五歳。これまでも本人が希望すれば六十〜七十歳の幅から選ぶことができたが、四月からは年齢上限が七十五歳に拡大された。
 受給開始を六十五歳から遅らせるほど受給額は増える。働き、自立できる収入があれば、受給を控え、後から増額された年金を受け取ることができる。
 働きながら給与と年金の双方を受け取る場合、六十五歳以降に納めた保険料は退職時か七十歳に達した時に年金額に反映されてきたが、納めた保険料が毎年、年金額に反映される方式に変わった。
 六十〜六十四歳で年金、給与双方を受け取る場合も、合計が月二十八万円を超えると年金が減額されたが、四月から上限が月四十七万円となり減額対象者は減る。
 シニアの就労を促進する制度改正は雇用保険でも行われている。
 二〇一七年からは雇用保険が働く六十五歳以上にも適用され、要件を満たせば離職時に給付金が何度でも支給される。育児休業や介護休業給付金の対象にもなった。再就職に向けた教育訓練を受けた場合にも給付金が受け取れる。
 小さな改正でも、少しずつ積み上げていけば、年齢に関係なく働きたい人が働き続けられる社会により近づくことができる。
 高齢者は増え続けており、年金や医療、介護など社会保障制度の支え手をどう増やすかは社会が直面する重い課題だ。働くシニアが増えれば、現役世代の労働力減少を補うこともできる。
 二一年度から七十歳までの就労確保が企業の努力義務となった。シニアが培ってきた知識や技能を高めるには、学び直しの機会など就労環境の見直しも必要だ。シニアのやる気を引き出し、能力を生かした活躍の場をどう提供するのか、知恵を絞ってほしい。
 シニア自身も働き方を見つめ直す機会を積極的に持ちたい。 

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