チェルノブイリ原発の安全確保に取り組む現地研究者を支援 ロシア軍に機器類は持ち去られ付近に地雷も…

2022年5月23日 11時52分
2017年に福島を訪れた安田教授(奥)とパレニュークさん(左)=福島県内で(安田教授提供)

2017年に福島を訪れた安田教授(奥)とパレニュークさん(左)=福島県内で(安田教授提供)

 ロシアによるウクライナ侵攻で、ロシア軍の攻撃を受けた原発の安全確保に奔走する現地の研究者の支援に福井大が乗りだした。中心となるのは研究仲間で、福井大付属国際原子力工学研究所の安田仲宏教授(53)=原子力防災。研究者に非常勤講師として学生にオンラインで講義してもらい、謝礼を通して経済的援助をする。原子力に関する技術的な助言も提供する。(林侑太郎)
 研究者は、ウクライナ国立生命環境科学大のオレナ・パレニューク准教授(35)。ロシアの侵攻後は、国立学士院原子力発電所安全問題研究所の副所長として、特にチェルノブイリ原発の安全確保に力を注いでいる。
 パレニュークさんによると、同原発はロシア軍に3月末まで約1カ月占領され、放射線量の測定器やコンピューターなどの機器類が根こそぎ持ち去られた。付近には地雷が仕掛けられている可能性もある。現地には近づきにくく、正確な状況の把握が困難という。
 ロシアの侵攻後、パレニュークさんは、首都キーウ(キエフ)から西部のチェルノフツィに避難し、現在はキーウから西に130キロほど離れたジトーミルで生活。チェルノブイリ原発の安全確保のため、不足する物資の入手や関係当局との交渉に取り組んでいる。
 そんなパレニュークさんと安田教授が知り合ったのは2017年。日本で放射線の影響の研究を望んだパレニュークさんが、別の教授を介して安田教授の研究室を紹介された。3カ月ほど学んだパレニュークさんは20年に福井大非常勤講師として再来日するはずだったが、コロナ禍でかなわなかったという。
 2人は現在、週に1回前後、オンラインで対話する。ただ、安田教授は「全部自分がやらなければ、と考えてしまい、(精神的に)病んでしまっているようだ」と、自国の非常事態に対応するパレニュークさんの体調を気遣う。安田教授は福島第一原発事故の際、原発作業員などの医療態勢整備に従事したといい、当時の自分の姿と重なる。
 パレニュークさん支援のために計画したオンライン講義は15回前後の想定で、第1回は25日に始まる。講義の企画は経済的な支援だけでなく、学生との交流を通じた心のケアも意図。パレニュークさんは「感謝してもしきれない」と話しており、安田教授は「現地の状況に応じて足りない物資の支援などできることを考えていきたい」と、放射線量の測定器などの提供も検討する考えだ。

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