ウクライナからの避難民、住民登録や保険加入など在留手続きのハードル高く…ボランティアや行政書士が協力

2022年5月24日 06時00分
 ロシア軍によるウクライナ侵攻開始から24日で3カ月。ウクライナから日本に逃れてきた避難民は1000人を超え、生活などの支援策は徐々に充実してきた。東京都大田区の太田恵美子さん(66)は、交流サイト(SNS)で知り合ったウクライナ人親子の手続きを代行、必要な書類を整えるなどサポートにあたった。こうしたボランティアの力に加え、政府も専用サイトを設けるなどして支援策が避難民に届くよう取り組みを進めている。(加藤益丈)

インナさん(左)に臨時の健康保険証などを手渡す太田恵美子さん=4月28日、横浜市青葉区で

 「ディス・イズ・ユア・アイディーカード(あなたのIDカードですよ)」。横浜市内の住宅で4月28日、首都キーウ(キエフ)から子ども2人と避難したインナさん(35)に、太田さんが在留カードや臨時の健康保険証を手渡した。インナさんは「サンキュー」と笑顔で答えた。
 2人は4月11日、太田さんの知人のSNSを通じて知り合い、その後もSNSで、来日の段取りや生活について相談。26日夜、インナさん一家が羽田空港に到着した。
 出迎えた太田さんの動きは慌ただしかった。翌27日、知人が用意した横浜市内の住宅に一家を案内。同日中にインナさんの在留資格を「短期滞在」(最大90日間)から就労できる「特定活動」(最大1年間)に変更し、在留カードを代わりに受け取った。
 28日、新型コロナウイルス感染対策で自主隔離するインナさんの委任状を持ち区役所に行き、住民登録や健康保険加入を済ませた。日本で暮らす最低限の手続きを終え、太田さんは「インナさんは見ず知らずの私に命を託してくれた。これで一息つける」。しかし、ほっとしたのもつかの間、その後も銀行口座の開設に同行し、支援金の申請の代行もした。

太田恵美子さんの支援の経過
4月11日 インナさんと初めて連絡を取る
26日 インナさん一家が羽田空港に到着
27日 インナさんの在留資格を「短期滞在」から「特定活動」に切り替え
28日 インナさん一家の住民登録と健康保険への加入手続きをする

 手続きをスムーズに進められた背景には、日本行政書士会連合会(東京都港区)の支援があったという。同会はウクライナ避難民の在留資格切り替えを無料で代行している。
 太田さんは、インナさんの来日前から行政書士の助言で必要書類を用意。来日の翌朝に行政書士に書類を渡し、その夜に中長期在留者に交付される在留カードを受け取れた。同会の松村和人副会長は「適正な情報をまとめてから申請を代行するのでスムーズにできる」と話した。同会の無料相談窓口は電03(6822)2178、メールアドレスは、u-support@staff.gyosei.or.jp

◆避難民の3割が住民登録できず

 出入国在留管理庁によると、今月21日時点で1037人のウクライナ避難民が入国した。日本での暮らしを手助けしようと、同庁は9日、国内の企業や自治体などの支援を検索できる専用サイトを開設した。食料や衣類、携帯端末用のSIMカード、通訳サービスなどの提供メニューがある。
 一方で、専用サイトの利用に必要なIDやパスワードを記した書類や、金融機関の口座開設用に同庁が発行する証明書を、避難民が受け取れないケースが出ている。同庁が「本人に確実に届けるため、住民登録した住所に書類を送る」という方針だからだ。
 住民登録は自治体に申請する必要があり、それに先立って在留資格を当初の「短期滞在」から「特定活動」などに変更する必要がある。だが同庁によると、避難民の3割が在留資格を変更しておらず、住民登録できていないとみられる。
 このため同庁は14日、空港での入国手続き時に、在留資格の変更と住民登録など「2週間以内にやってほしいこと」をまとめた文書を配り始めた。また、希望者からメールアドレスを聞き、迅速に情報提供できる方法を検討している。

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