新建議書出しても…日米首脳は沖縄の民意を置き去り 「辺野古が唯一の解決策」と確認
2022年5月23日 19時45分
日米両首脳は23日の会談で、米軍普天間 飛行場(沖縄県宜野湾 市)の移設に伴う名護市辺野古 の新基地建設を現行の計画通り進めることで一致した。沖縄県の玉城 デニー知事は今月上旬、本土復帰50年に際してまとめた「新建議書」で、沖縄の民意を理由として新基地建設の断念などを求めたが、日米両政府の姿勢は変わらなかった。
岸田文雄首相は首脳会談後の共同記者会見で「辺野古における普天間飛行場代替施設の建設を含む在日米軍再編を、着実に実施していくことで一致した」と説明。過去の日米首脳会談で擦り合わせてきた新基地建設の方針を再確認した。
政府高官によると、会談では首相から「普天間飛行場の固定化を避けるため唯一の解決策である辺野古移設を着実に推進したい」と話題を持ち出した。バイデン米大統領は「同意する」と応じたという。
バイデン氏は新基地建設を推進したオバマ大統領時代に副大統領を務め、2013年の来日時に安倍晋三首相(当時)と会談して新基地建設の方針を確認。大統領就任後もこの方針を継承し、昨年の日米共同声明にも同方針を明記した。
新基地建設を巡っては、故・翁長雄志 前知事、玉城氏と2代続けて阻止を掲げて知事選を制し、19年の県民投票でも反対票が7割を占めた。新建議書ではこれらに触れて「辺野古反対の民意は民主主義の手続きにより明確に示されている」と指摘したが、県民の民意が顧みられることはなかった。(山口哲人)
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