日本も正式参加のIPEF、関税引き下げは対象外で実利は薄い?TPPやRCEPと何が違う?

2022年5月24日 06時00分
 バイデン米大統領が23日に立ち上げを発表した「インド太平洋経済枠組み(IPEF=アイペフ)」に、日本も参加を正式表明した。貿易や環境分野で新たな経済ルール作りなどを目指すが、市場の開放につながる関税の引き下げや撤廃は議論の対象外。現時点では、日本を含めた参加国の直接的な経済効果は見えづらい。

「IPEF」の発足会合に臨む(左から)バイデン米大統領、岸田首相、インドのモディ首相=23日午後、東京都港区(AP)

 「インド太平洋地域で21世紀の経済の新たなルールを作る。参加国の経済がより早く、公正に成長するよう支援し、可能性を最大限に引き出していく」。バイデン米大統領は23日、各国首脳らが出席したオンライン会合でIPEFの立ち上げを表明した。
 東京の会場でバイデン氏と席を並べた岸田首相も「この地域への米国の強いコミットメントを明確に示すものだ」と歓迎。世界的に不足する半導体などの調達網の整備や、デジタル貿易のルール作りに着手する。
 ただ、米国は自国の市場開放に慎重なため、IPEFでは関税の引き下げを通じた自由貿易の推進には取り組まない。米国市場への輸出拡大につながらず、会合では「具体的で相互利益のある結果をもたらすべきだ」(インドネシアのルトフィ貿易相)と、「実利」を期待する声も出た。
 日本も、これまでにインド太平洋地域で、TPPや、中国も参加するRCEPなど大型の経済連携を進めてきた。日本の工業製品に対する参加国の関税撤廃率はTPPで99.9%、RCEPも91.5%に上る。日本の輸出企業にとっての直接的な恩恵は少なくない。
 経済産業省幹部は「関税自由化などが含まれないことに不満を抱く国は多い。最大の求心力は、米国が市場を開放できるかどうか」と指摘。岸田首相は米国にTPP復帰を求め、経済界も「米国がTPPに再度復帰することが一番正しい」(日本商工会議所の三村明夫会頭)と同調する。
 IPEFは議会の承認が必要のない政府間合意のため法的拘束力はない。IPEFが目指す経済ルールを満たせば、米企業との取引拡大につながる可能性はあるものの、米国の政権交代で頓挫するリスクもある。(岸本拓也)

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