ウクライナの「優しい味」に笑顔 郷土料理で平和に思いはせ 鎌倉の避難女性が振る舞う

2022年5月24日 07時28分

ボルシチを器に盛り付けるナターリヤさん(主催した「カヤック」提供)

 日本の人にウクライナの味を知ってほしい−。鎌倉市で二十二日、ロシアによる侵攻を受けて市内に避難しているウクライナ人女性が作った郷土料理を楽しむイベントが開かれた。女性は故郷で料理人として働いており、この日は得意なボルシチやピロシキなどを振る舞った。参加した市民らは「優しい味で、日本人の舌に合う」などと話し、ウクライナで失われた平和な市民生活に思いをはせた。(石原真樹)
 女性はナターリヤ・マーモーチカさん(68)。自宅はチェルノブイリ近郊のスラブチチ市で、次女が鎌倉市在住だったことから避難を決意。先月から、難民支援に取り組む同市のNPO法人「アルペなんみんセンター」が運営する市内のシェルターで、夫のオレクシィさん(70)と生活している。
 ナターリヤさんは料理人として幼稚園や工場などで四十年近く働き、工場従業員千人分のご飯を作っていたこともあるという。イベントでは、鎌倉産のパセリや新ジャガイモを使ったボルシチやピロシキ、手作りチーズを包んだクレープ風のデザートなどを約四十人分用意した。長女で東京都足立区で暮らすスミヤン・オクサーナさん(46)も駆けつけ、日本語が話せないナターリヤさんに代わって「ジャクジュー(ありがとう)」など簡単なウクライナ語を紹介した。

調理したボルシチやピロシキ=いずれも鎌倉市で

 「母は料理が大好き。皆さんにおいしく食べてもらえてとてもうれしそう」とオクサーナさん。ナターリヤさんは「自分がウクライナに帰った後も鎌倉の人たちがウクライナの味を覚えていてくれるとうれしい」と話しているという。
 参加した吉田直美さん(55)は、ポーランド在住の長女祐美さん(27)がウクライナ避難民の支援に取り組み、ナターリヤさんらの来日をサポートした。直美さんは「ナターリヤさんが元気にイベントができるようになって良かった。(侵攻を受ける前には)おいしい料理を囲む家族の生活があったのだろうと想像してしまう」と話した。
 アルペの施設ではほかにも難民申請中の外国人が暮らすが、申請がなかなか認められないなど国や自治体による対応や支援を巡り、ウクライナからの「避難民」と差が出ている。スタッフの及川いずみさんは「ウクライナの大きなニュースの裏に、ほかにも日本に逃れてきて助けを必要としている人がいると知ってほしい」と複雑な心境も明かした。

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