<サブカルWorld>(17)名探偵コナン 安室透 人気を探る 女性ファンの心がっちり

2022年5月24日 07時34分

シリーズ25作目のアニメ映画「名探偵コナン ハロウィンの花嫁」。首輪爆弾を装着された真ん中のキャラが安室透 ©2022 青山剛昌/名探偵コナン製作委員会

 現在公開中のアニメ映画「名探偵コナン ハロウィンの花嫁」がヒットを飛ばしている。その背景には、本作の主要キャラクター「安室透」の存在がある。もとは数多い名探偵コナンのキャラクターの1人に過ぎないはずが、屈指の人気を誇り、安室を軸にしたスピンオフ作品が描かれたり、女性誌の表紙を飾ったりと、注目度は高まる一方だ。人気の秘密は何なのか。安室に恋したファンと一緒に本作を鑑賞し、その魅力を探った。 (飯田樹与)
 安室透とは、喫茶ポアロで働きながら探偵・毛利小五郎に弟子入りする探偵見習なのだが、黒ずくめの組織の探り屋「バーボン」でもあり、その実、公安警察捜査官「降谷零(ふるやれい)」という三つの顔を持つイケメンだ。原作漫画で二〇一一年に登場すると、恋に落ちるファンが続出し、ファンを指す「安室の女」なる言葉まで生まれた。主役級に活躍した一八年の映画「ゼロの執行人」では、初めて興行収入が九十億円を突破。社会現象を引き起こすレベルで人気を博してきた。本作でも、メインビジュアルの中央を陣取る。
 大型連休中のある日。記者は元「安室の女」を自称する後輩と本作を鑑賞するため映画館へ。彼女は三十代前半。満席の会場を見渡すと、年代や性別もさまざまで、まさに国民的アニメだと実感する中、後輩は「体温が上がってきた!」と、目を輝かせ、テンション高めで席に着いた。
 冒頭から、安室が登場。警察学校時代の同期二人を死に追いやった連続爆破事件の脱獄犯を追い詰めるも、仮装した謎の人物によって、いつ爆発するかもしれない首輪爆弾が装着されてしまう。
 作中、安室が、自ら捜査協力を依頼したコナンを隔離中の地下シェルターに呼び、同期メンバーと遭遇した三年前の事件を説明するシーンがある。ワイングラスを傍らに置き、脚を組んで優雅に腰掛ける安室。首輪爆弾を付けられた絶体絶命の状況なのでは…と心の中で突っ込みつつ、かっこいいから良(い)っか!と、王子様然とした姿を堪能した。
 その後、高い身体能力を発揮して、爆弾魔を追い詰める姿もほれぼれ。記者は特段、安室推しではない(どちらかというと怪盗キッド派)し、あざとく女性受けを狙っている気がしなくもないが、多くの女性がとりこになるのもうなずけた。
 一緒に鑑賞した後輩は、たまたま見た「ゼロの執行人」で恋に落ち、グッズや雑誌を買いあさり、部屋に祭っていた過去を持つ(現在も所有)。プライベートが多忙になり、今は少し落ち着いているというが…。
 「何と言っても首輪ですね。囲われた安室さんもエサですね」。鑑賞後、後輩がうっとりとしながら話した。彼女はBL(ボーイズラブ)好きなのだが、「妄想がかき立てられる」と満足げな様子。
 本作では、今は亡き警察学校時代の同期四人とのエピソードも登場したため、「五人の関係がエモい。安室さんの情報はまだ少ないので、新しい要素が出ると、うれしい」とも。好きな人のことをもっと知ることができたという喜びを感じているようだ。
 「警察学校編の安室さんは、今と違って明るい性格。でも、四人が死んでしまって…。無鉄砲さがひどくなってしまった。もっと自分を大事にしてっと思ってしまう」とため息をついた。どうやら、本作の命懸けのアクションシーンを思い出しているらしい。
 そういえば、映画館内の感想コーナーにも、降谷零に宛てて「幸せになってね」「幸せになるまで死ねない!」というコメントがあった。亡き仲間との絆を胸に、生き急いでいるように見えて、切なさがかき立てられているのかもしれない。
 「かっこいいというのがまずある。その上で、そんな人の弱っている姿にギャップを感じるし、危うい感じにキュンとする」と後輩。グッズコーナーをのぞくと、安室グッズが品薄状態だった。残り一個の安室のイラスト入りポーチを手に取りレジに持って行った。安室グッズを流れるような手つきで爆買いしていた在りし日の姿と重なる。「元」ファンのはずが、一瞬で再び心をつかまれたようだった。

◆スピンオフで主役 女性誌表紙も飾る

スピンオフ作品(左)がつくられたり、女性誌(右)の表紙を飾ったりと、一層注目される安室透

 安室透の絶大な人気を受け、原作漫画を連載中の『週刊少年サンデー』では二〇一九〜二〇年に、警察学校時代の同期五人を描いたスピンオフ「警察学校編」を不定期で掲載。二一年からはそれぞれのエピソードがテレビアニメでも放送されている。また、安室が主役のスピンオフ「ゼロの日常(ティータイム)」も一八年から不定期で連載され、今春、テレビアニメ化された。
 さらに、二十〜三十代の女性がメイン読者層の女性誌『アンアン』の四月二十日号には、普段はタレントが登場する表紙に、光を背景に凜々(りり)しくたたずむ降谷零(安室)がお目見えした。コナンキャラが表紙になるのも、男性キャラのソロ表紙も初めてという。
 同誌では一八年から名探偵コナンのアニメ映画特集を組み、毎年、キャラの描き下ろしイラストを依頼してきたが、中でも安室人気は高いという。
 編集部は「安室はトリプルフェースを持つ人物。弊誌の企画でも、どの顔で登場しているのだろうと想像力をかき立てる場合がありました。それが、彼のミステリアスな魅力にも通じていると感じます」と話す。
<名探偵コナン> 主人公は、小学1年生の江戸川コナン。その正体は、「黒ずくめの組織」の薬によって体を小さくされた高校生名探偵・工藤新一だ。体を元に戻すため、新一の彼女である毛利蘭の父親・毛利小五郎の探偵事務所に居候して組織の情報を収集しつつ、大人顔負けの推理力で数々の難事件を解決していく。原作漫画は1994年から「週刊少年サンデー」で連載し、単行本は101巻(5月現在)を数える。96年からテレビアニメが開始。アニメ映画は97年から製作され、現在公開中の「ハロウィンの花嫁」は25作目。
*「サブカル」とは、漫画、アニメ、ゲームに代表される「サブカルチャー」の略語。この欄は、沼のように奥深いサブカルの魅力をお届けします。毎月第4火曜日掲載。

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