国有形文化財の酒蔵2棟焼失 「結城酒造再び」支援広がる 県酒造組合真結支部がSNSで義援金募集

2022年5月24日 07時40分

江戸時代に建てられた2棟の酒蔵が全焼した結城酒造=11日、本社ヘリ「あさづる」から 

 十一日の火災で国登録有形文化財の酒蔵二棟が焼失した結城市の老舗酒造会社「結城酒造」を救おうと、地元の支援の輪が広がっている。杜氏(とうじ)の浦里美智子さん(44)は謝意を表しつつ、再起への道筋を探る。(出来田敬司)
 結城酒造があるのは、古くからの住宅や寺院が軒を連ねる市街地の一角。建物は塀や煙突、倉庫を除いてほぼなくなり、青空が目立つ。小型の重機が現場を行き来し、横倒しになった黒焦げの柱や梁(はり)を寄せ集めている。母屋部分の焼け跡からは、古い紙片や古銭が見つかった。

焼け跡では柱や梁の撤去作業が進む=いずれも結城市で

 焼失を免れた二台の大型冷蔵庫には、数千本の酒がほぼ無傷で残されていた。近隣の飲食店や酒販店の従業員が焼け跡に集い、出荷作業を手伝う。地元酒造業者でつくる県酒造組合真結支部は、交流サイト(SNS)で義援金の募集に乗り出した。
 浦里さんは「うちが火事を出したことで、お酒にかかわる人たちにもご迷惑をおかけした。感謝しかない」と頭を下げる。
 火災は十一日午後二時四十五分ごろ発生。結城署や同社などによると、酒を熱処理する「火入れ作業」をしていた際、火が木の壁に燃え移ったとみられる。
 浦里さんは一一九番通報し、消火器で火を消し止めようとしたが、「想像以上に火の回りが早かった」。酒蔵の「安政蔵」「新蔵」、さらに母屋の計三棟約千百平方メートルを全焼。幸いにもけが人はいなかった。
 同社は一五九四年の創業。江戸時代に藩庁が置かれた結城城のそばにあったが、幕末の火事で焼失し、現在の場所に。安政蔵は、移転後すぐの安政年間(一八五五〜六〇年)の建築とされる。酒蔵二棟は二〇〇〇年、煙突とともに国の登録文化財に指定された。
 浦里さんが酒造りを始めたのは一一年。現在社長を務める昌明さん(45)との結婚がきっかけだ。全くの未経験だったが、「目に見えない菌の動きでお米からアルコールを造り出すのが楽しい」と夢中になった。純米吟醸の「結(むすび)ゆい」を生み出し、一九年には県が創設した「常陸杜氏」の第一号に認証された。

酒蔵内で本紙の取材を受ける浦里美智子さん(2019年12月)

 順風満帆に見えた中で降り掛かった今回の災難。浦里さんは「長い歴史の中で、こんなことが自分の代で起きるとは」と肩を落とし、「私たちができるのは酒造りだけ。いつ、どこでできるか分からないが、いま一度再開できれば」と声を絞り出した。

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