「夢の国」これで楽しめる? ディズニーランドの「2000円で待ち時間短縮」に物議

2022年5月25日 16時00分
東京ディズニーランドで開園を待つ来園者ら=2020年7月、千葉県浦安市で

東京ディズニーランドで開園を待つ来園者ら=2020年7月、千葉県浦安市で

 東京ディズニーランドと東京ディズニーシー(いずれも千葉県浦安市)で今月、人気アトラクションの利用を有料で時間指定できるサービスが始まった。お値段は1回2000円。4人家族なら8000円になり、「夢の国」から一気に現実に引き戻されそうだ。巷でも物議を醸している。夢の国にふさわしい利用の仕組みとは何なのか。(特別報道部・中沢佳子)
 「1日を計画的に、より効率的に楽しむための選択肢が増える」。運営するオリエンタルランドは、新たなサービス「ディズニー・プレミアアクセス」をそう言い表した。
 対象は、長い行列ができることで知られる「美女と野獣“魔法のものがたり”」「ソアリン:ファンタスティック・フライト」の2つ。入園した後、スマートフォンの専用アプリで予約し、指定の時間に施設入り口の読み取り機で、スマホに表示された2次元バーコードをかざす。
 有料で待ち時間が短縮できる仕組みは、米国などのディズニー関連パークでも導入。国内でも各地で取り入れている。富士急ハイランド(山梨県富士吉田市)は2008年、「絶叫優先券」を導入。11種のアトラクションを対象に、人気度や混雑状況に応じ、700~2500円の変動価格で販売している。担当者は「当初は『高い』と批判もあった。でも、短時間しか滞在できない人からは効率的だと好意的な声もある。客単価も上がった」と語る。
 ナガシマスパーランド(三重県桑名市)も15年から、人気アトラクション4種の「エクスプレス・チケット」を扱っている。価格は1回1000円で「大型連休には3時間待ちの行列ができる中、時間を有効に使えると好評。7月から対象アトラクションを1種増やす」と担当者。ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(大阪市此花区)も同様の「エクスプレス・パス」がある。
 今回の取り組みは、必ずしも珍しいわけではない。とはいえ、反応はさまざま。それは「夢の国だからこそ」とも言えそうだ。
 インターネット上では「1人2000円高いな。こういうの導入しないと思ってたのに残念」「夢の国の中でも『お金』が必要になってきた印象。まさに夢の国の格差社会」と嘆きの声が渦巻く半面、「人多すぎるし、何時間も待つならお金使う方が有意義」との声も。
 浦安市出身の女性会社員(37)=東京都江東区=は「今までが混みすぎていた。社会人の今なら2000円払ってでも乗りたいと思うけれど、学生さんには厳しいかもしれない。それに、お金を払えば優先的に乗せるという発想じゃなかったのが、ディズニーの良さだったのに…」と複雑な心境だ。
 東洋大の小川純生元教授(消費者行動論)は「若い世代を中心に、情報や体験など目に見えない価値にお金を出す人が増えている。限られた時間でやりたいことをやるために、時間にお金を払うのを惜しまない人も多い」とみる。
 テーマパークコンサルタントの清水群さんは「テーマパークは景気に左右されにくいが、新型コロナ禍でどこも集客に苦しんだ。『次のショック』に備え、客単価を上げるビジネスモデルへの転換を探っている」と背景を語る。
 全アトラクションが対象ではないこともあり、来園者数に大きな影響は出ないとも。「旅行の一環で来るケースも多く、頻繁にない機会で利用するならいいと思う人もいる。来園者が減っても、パーク側は客単価が上がればいい。混雑防止になり、訪れる人の満足度はむしろ上がる。園内の運営も円滑になる」。ただ懐が寒い人には夢の国が少し遠い夢になりそう。時間にお金を払えなければ、いっそ並ぶのを楽しもうか…。

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