<集いの杜>木々を渡る 夜風に吹かれ

2022年5月25日 06時36分

3年ぶりに再開した外苑のビアガーデン。木々の下を子どもたちが元気に駆け回っていた=新宿区で

 四月二十七日。ゴールデンウイークを前に夏日を記録したこの日、明治神宮外苑の一角で、いつもの年より少し早く、ビアガーデンがオープンした。コロナ禍と東京五輪の影響で三年ぶりの開業である。
 その名も「森のビアガーデン」。「明治神宮外苑七十年誌」によると、始まりは一九八四年だ。お盆前のわずか十五日間の開催だったが、来場者があふれた。以来、今年で三十七回目。同じころに始まった花火大会とともに、外苑の夏の風物詩になった。
 「料理よりも、酒よりも、ここで飲めるってことが一番ですよ」。五月半ばに訪れると、酔客の一人がテーブルを囲む豊かな緑を指して言った。
 三人の子どもたちが幼かったころ、外苑の児童遊園で遊び、ここでよく食事をしたという。転勤族の男性にとって、それ以来の夜だった。その長男は最近、子どもが生まれ父親になった。「面影は変わりませんね」とあの夏を懐かしむように言った。木々はテーブルに影を落とし、昼間の陽気が一転、涼しい夜風が吹いていた。
 今年から、料理の注文は、客がスマホから行う。ビールを注ぐのもセルフサービスだ。「お客さまとの接触や会話を減らすため」(運営会社)のコロナ時代の新しい形だが、客足は上々だという。変わらないものがあり、変わるものもあって、外苑ににぎわいが戻り始めている。
文・森本智之/写真・内山田正夫
 ◇  ◇
※100年近い歴史を誇る明治神宮外苑。再開発の波にさらされる杜の今を、写真で記録します。随時掲載。
◆紙面へのご意見、ご要望は「t-hatsu@tokyo-np.co.jp」へメールでお願いします。

関連キーワード


おすすめ情報