<社説>日米豪印会合 緊張を高めぬ枠組みに

2022年5月25日 06時50分
 日本、米国、オーストラリア、インドの「クアッド」首脳会合は「自由で開かれたインド太平洋」の実現に協力することを確認した。自由や民主主義、法の支配という価値観を共有し、地域に影響力を有する四カ国が結束する意義は大きい。
 ただ、覇権主義的な動きを強めているとはいえ、中国をいたずらに刺激し、緊張を高めるのは得策ではない。地域の安定に資する枠組みへの道を探るべきだ。
 対面での首脳会合は二回目。ロシアによるウクライナ侵攻への懸念を共有し、力による一方的な現状変更はいかなる地域でも許してはならないとの認識で一致した。北朝鮮の完全な非核化に向けた連携も確認し、地域の平和と安定を維持する決意を示した。
 ただ、アジア太平洋地域は、軍政や社会主義も含めて政治体制は多様で、米欧の民主主義国による北大西洋条約機構(NATO)のような軍事同盟を志向しても現実的ではない。
 感染症対策、社会基盤整備、気候変動対策など地球規模の課題への取り組みを優先すべきだ。
 四カ国は、バイデン米大統領が提唱し、二十三日に発足したインド太平洋経済枠組み(IPEF)の中心メンバーでもある。
 経済面でも影響力を増す中国に対抗する狙いがあるが、軍事的緊張につながらないよう留意するのは当然だ。中国との対話はもちろん、対中関係を重視する国にも門戸を開いておくべきである。
 オーストラリアのアルバニージー新首相は政権交代で中国寄りの姿勢に転じるとの見方を否定し、就任直後に訪日し、首脳会合に駆けつけた。四カ国の足並みを乱さなかったことを歓迎したい。
 首脳共同声明は、伝統的にインドとの関係が深いロシアを名指しで批判することは避けた。インドを引き続きクアッドにつなぎ留めるための配慮は必要だろう。
 ロシアのウクライナ侵攻後、外国首脳の来日が相次ぎ、日本は欧米とアジアを結ぶ結節点になっている。岸田文雄首相はこうした日本の外交的立場を踏まえ、地域の安定に力を尽くすべきである。

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