<山崎まゆみのバリアフリーで行こう>伊香保「塚越屋七兵衛」 心解きほぐす「乙女温泉」

2022年5月25日 07時33分

交流会当日は全館貸し切り

 先月、群馬・伊香保温泉「塚越屋七兵衛」で開催された交流会「乙女温泉」に参加しました。
 乙女温泉とは、兵庫県を拠点に活動する乳がん治療経験者のコミュニティー「リボン・アール」(渡辺愛代表)が中心となり、経験者同士や罹患(りかん)していない女性とも交流し、大浴場の入浴に抵抗のある女性たちで最初の一歩を踏み出そうとするものです。

内風呂には、伊香保温泉を象徴する「黄金の湯」が引かれている

 この日は全館を貸し切り、参加者は約20人。私も2016年に子宮内膜症の手術で腹部にできた傷痕が気になり、大浴場をためらう時期がありましたので、その気持ちは十分に理解できます。
 参加者の簡単な自己紹介の後、検査技師の方から乳がんのセルフチェック法を教えてもらいました。いよいよ入浴です。
 お風呂は「男湯」「女湯」の両方を使い、傷痕を気にせず入れる人は男湯へ、気になっている人は女湯へ入ります。途中で、女湯から男湯へ移動しても構わないルールで、入浴への心理的ステップも考慮されています。

露天風呂には「白金の湯」。無色透明で肌の再生を促す成分が入っているという=いずれも群馬県渋川市で

 私が男湯に入ると、さばけた女性たちに囲まれました。お互いの傷痕を見せあい、術後の健康管理法などをおしゃべりしながら時を過ごしました。
 入浴後、参加者が大きなお風呂に体を伸ばして入れる気持ち良さを語りながら涙ぐむ場面もありました。また「こんなふうに傷の話をするのは初めて」「何かが流れていくのを感じた」という声が多数。闘病生活や傷痕による「心のこわばり」がほぐれたのではないかと、皆さんの笑顔から感じとりました。
 女将(おかみ)の塚越左知子さんは「休館日ですので、気兼ねなく伊香保のお湯を楽しんでください。うちは『人が元気になれる場所』でありたいので、次回は今年の秋、その後も定期的に開催したいです」と参加者に語りかけていました。 (温泉エッセイスト)
<メモ> 伊香保温泉 塚越屋七兵衛は群馬県渋川市伊香保町伊香保175の1。(電)0279・72・3311。

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