誤嚥性肺炎 口腔ケアで防ごう 舌の筋トレ、効果あり 家庭で「1日1分」

2022年5月25日 08時22分
 口の中の環境や機能を維持するための口腔(こうくう)ケア。高齢者に多い誤嚥(ごえん)性肺炎などを予防するには、口の中の細菌を減らすだけでなく、舌の筋肉を鍛えることも大切だ。富山県内の介護施設で口腔ケアを指導する歯科衛生士、精田(せいだ)紀代美さん(71)=写真、富山市=に、毎日簡単にできる舌のトレーニング方法を聞いた。 (佐橋大)
 誤嚥性肺炎は、食べ物や唾液と一緒に、口の中の細菌が気管から肺に流れ込んで起きる。丁寧なブラッシングで歯垢(しこう)を取り除くのは、細菌を減らすため。舌を含めて口の中をきれいにすれば、誤嚥性肺炎のリスクが減るとされる。
 精田さんはさらに、歯でかみ砕いた食べ物を喉の奥に運ぶ舌の働きにも注目。高齢者らの口腔ケアに携わる中で、舌が縮まっている人は食べた後、口の中に食べ物が残りやすく、舌が伸びて舟底形にできる人はのみ込みもスムーズなことに気付いたという。
 食べ物をのみ込む際、誤って気管に入るのを防ぐ組織「喉頭蓋(がい)」を動かす筋肉は、舌の付け根近くにある。「舌を活性化することで、喉頭蓋の働きも刺激され、のみ込みが改善する」と精田さん。十年以上前から地元の介護施設などで、舌の掃除と一緒に舌を鍛える習慣を広めてきた。指導した施設では、誤嚥性肺炎で入院する高齢者が大幅に減ったという。
 二年余り続くコロナ禍の中、大きな声で話したり、歌を歌ったりといった、口を活発に動かす機会が日常から減っている。精田さんは「高齢者ののみ込み機能が衰えがち」と心配し、一日一回、舌の掃除と筋トレを三十秒ずつ続けることを推奨。口の中の細菌は特に睡眠中に繁殖し、筋肉も硬くなりやすいため、朝起きてすぐ行うのが効果的だ。
 舌の汚れを取る器具は、多くの商品が市販されている。ナイロン製の歯ブラシを使うと、硬くて細かい毛で舌が傷つくため、避けた方がいいという。「舌の表面は赤ちゃんの肌のように敏感。こする部分がシリコーンやゴムの製品を選ぶといい」と精田さん。舌を思い切り伸ばし、器具のこする部分を舌の表面に押し当てて、奥から手前にゆっくり動かすことを三十秒繰り返す。家庭にあるカレー用スプーンを使う場合はへこんだ面でこする。
 次に筋トレ。スプーンなら丸くなった底の面で舌の奥の中心部を二十秒間、一秒に一回の間隔でもみ込むように押す。その反応で舌が押し返し、筋肉が鍛えられる。続いて、左右の頬の内側をスプーンの底の面などで下から上に数回ずつ押し上げる。頬の筋肉も食べ物を歯のかみ合わせにのせるのを助けており、衰えさせないことが大切だ。

◆専用器具を開発 オーラル緊急箱セットも

精田さんが開発した器具を使った舌の筋力トレーニングの見本

 精田さんは、舌の掃除と筋トレの両方ができる専用器具「二刀流舌筋トレーナー君」を一年前に開発。長さ十八センチのプラスチック製で、先端のイチョウの葉の形をした部分に細かい突起と大きめの丸い突起がついている。インターネット上の「歯みがきとお口のケア専門店【きよまろショップ】」で千八十円(送料別)で販売中。災害時の口腔ケア用品をまとめた「オーラル緊急箱セット」(三千円〜)もある。(問)ティースアイ=電076(481)8020

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