首都直下地震、死者6100人を想定 耐震・不燃化進んでも阪神大震災級 都防災会議が10年ぶり被害見直し
2022年5月25日 22時40分
東京都防災会議地震部会(部会長・平田直東大名誉教授)は25日、首都直下地震などの被害想定を10年ぶりに見直し、都心南部を震源とするマグニチュード(M)7.3の地震が起きると死者約6100人、負傷者約9万3400人が出るとの報告書を公表した。23区の約6割が震度6強以上で、江東、江戸川区などは震度7になると想定している。(土門哲雄)
◆新想定で年明けにも防災計画修正へ
建物の耐震化、不燃化が進み、2012年想定の東京湾北部地震より死者が約3500人、負傷者は約5万4200人少ない。ただ、依然として死者数は1995年の阪神大震災級。都民の防災意識を高めてもらおうと、防災会議は今回初めて、発生直後からの時間軸で、都民を取り巻く被害のシナリオを掲載した。
平田部会長は取材に「6000人超の犠牲はあってはならない。耐震化などの対策で被害を減らせる。それぞれの地域がどうなるか、自分の場合の被害想定をしてほしい」と呼び掛けた。
新想定に基づき、都は来年1月下旬に地域防災計画の修正案を公表し、来年度の早期に決定する方針。
防災会議は5つの地震で死者数などを算出。このうち都内で最大の被害となる都心南部直下地震は冬の夕方6時に風速毎秒8メートルの風が吹いた場合、揺れによる建物倒壊で約3200人、火災で約2500人が亡くなるなどとした。
前回の被害想定から10年たち、各地の地震で蓄積した知見、高齢化や単身世帯の増加などを踏まえて見直した。体が不自由な高齢者や要介護認定者などの「要配慮者」が死者数全体の6割超に上ると想定した。
震度6強以上は23区の東部と南西部を中心に分布し、震度7は約14平方キロメートル、6強は約388平方キロメートル。江東区は13.7%が震度7で、84.4%が6強、江戸川区は9.6%が震度7、67.9%が6強となり、足立、墨田、大田、品川区は90%以上が6強になると見込んだ。
帰宅困難者は453万人、避難者は最大約299万人としている。
揺れや火災などによる建物被害は19万4400棟で、前回想定より約11万棟減。停電率は約12%、断水率は約26%、エレベーターは約13%が停止して閉じ込めにつながりうると想定した。経済被害は約22兆円と推計した。
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