首都直下地震で帰宅困難者453万人、東京駅には43万人…受け入れ先の確保急務

2022年5月26日 06時00分
 首都直下地震などの東京都防災会議の被害想定によると、都内で帰宅困難者が453万人発生し、東京駅に43万人、新宿駅に40万人が滞留する。都は事業所に対し、従業員が3日間はとどまれるよう水や食料の備蓄などを呼び掛けるが、外出中で行き場のない人たちを受け入れる一時滞在施設の確保も急務となっている。(土門哲雄)

◆2次被害の危険性

 「帰宅しようとする人が車道にあふれ、街灯や信号機は停電して大混雑」
 「携帯電話がつながらず、安否確認が困難に」
 「運行再開した電車の駅に多くの人が殺到」
 今回の被害想定では初めて、帰宅困難者の具体的な状況を地震直後や1~数日後の時間軸で示した。緊急車両が渋滞で動けず、歩行者は看板の落下や群衆雪崩など2次災害に巻き込まれるといった危険性を強調し、対策を強く促している。
 帰宅困難者数は2012年想定の517万人から減少した。インターネットでの買い物が増えて外出する人が減ったことなどが要因だという。ただし、帰宅可能と見込む外出先から10キロ圏内の人も被災状況によっては帰れなくなるケースがあり、報告書は「大きく増える可能性がある」と警鐘を鳴らす。

◆20万人以上の受け入れ先なく

 都は一斉帰宅による混乱を防ぐため、帰宅困難者対策条例で「むやみに移動を開始しない」と定め、災害用伝言ダイヤル(171)や交流サイト(SNS)など家族らとの連絡手段を複数確保しておくことを呼び掛けている。人命救助のリミットとされる3日間は救助活動を妨げないよう、従業員が職場にとどまれる備蓄を事業者に求める。
 買い物客や行楽客など約66万人が行き場をなくす。都は公共施設を一時滞在施設として活用するほか、民間のビル事業者などが従業員向け以外にも備蓄を確保し、区と協定を結ぶように働きかける。都は備蓄品購入費の6分の5を補助する。だが、現状で確保した施設は1155カ所、約44万人分にとどまり、20万人以上の受け入れ先がない。
 都の担当者は「事業者は従業員以外の帰宅困難者の対応に人員や場所を割くのが難しく、施設内でケガをしたり亡くなったりした場合の法的責任もハードルになっている」と説明する。

◆感染対策は

 新型コロナウイルス禍が一時滞在施設にも影響を与えている。1日の乗降客数が世界最多の約350万人の新宿駅周辺の事業者らでつくる防災対策協議会は、コロナ禍で中断していた一時滞在施設の運営訓練を今夏、再開する予定だ。
 昨年、感染症に対応した運営マニュアルを作成。感染状況に応じて、人と人の距離を取れるように定員を少なくする。感染が疑われる人のためのスペース確保や、消毒液やマスクの管理など留意点も増えた。
 一方で、全員が3日間とどまるのは非現実的だとして、交通網の復旧状況などに応じて柔軟に帰宅することなどを、国や専門家が検討し始めている。都防災会議地震部会の専門委員で、新宿駅周辺防災対策協議会座長も務める工学院大の久田嘉章教授は「一時滞在施設に全員の収容はできず、高齢者や病気を持つ人をいかに優先して受け入れていくか。負傷者への対応など課題は多い」と指摘する。

関連キーワード


おすすめ情報