首都直下地震どう備える? 「4人家族に必要な備蓄品の量」一覧 高層階に住む人ほど備蓄が必要に

2022年5月26日 06時00分
 東京都防災会議による首都直下地震の被害の想定では、都心部で急増する高層マンションでのリスクなど、社会環境の変化を反映した。現状の暮らしに応じた備えを呼び掛けている。(佐藤航)

◆高層階は「陸の孤島」の恐れ

 「地震でエレベーターが止まると(高層階は)『陸の孤島』となってしまう恐れがある」。沿岸部を中心に高層マンションが立ち並ぶ現状に、都の防災担当者は危機感を抱く。
 都内の高さ45メートル超の建築物は2020年度で3558棟。わずか10年で1000棟以上も増えた。都内で共同住宅の6階以上に住む世帯も同じく10年で3割以上増え、約103万世帯に達している。
 災害時にエレベーターが止まった場合、荷物を持って階段を上り下りするのは難しい。各地で一斉に止まれば点検に時間がかかり、復旧に1週間以上かかるケースも想定される。そのため高層階に住む住民ほど、食料や日用品などの備蓄が大事になってくるという。
 都はインターネットサイト「東京備蓄ナビ」で、家族の人数や年齢、住まいの種類を入力すると必要な備蓄品や量が分かる情報を提供している。1戸建ての3日分に対し、マンションなどの共同住宅は1週間分が目安。共同住宅に住む4人家族で計算すると、飲み水76リットルなど58品目ものリストが示された。
 都が都民1万5000人を対象に実施した21年のアンケートでは、食料や水を1週間以上備蓄している人は10%に届かなかった。担当者は「避難所でなく在宅を希望するなら、より余裕を持った備蓄が必要になる」と説明する。

◆通信手段の確保も課題に

 通信手段の確保も大きな課題だ。この10年で都内の固定電話加入数は半減した一方、携帯電話契約数はおよそ3倍になった。災害時に通信が集中すると、事業者が回線の逼迫を避けるために通信を規制する可能性は高い。東京都防災会議地震部会長の平田直・東大名誉教授は「交流サイト(SNS)も非常に制限されることになる」と指摘。連絡が取れなくなった場合の集合場所を決めるなど、「事前に家族で相談しておくのが大事だ」と呼び掛けた。

◆耐震化進めると被害は減少

 東京都防災会議の被害想定には、建物の耐震化などの対策によって被害をどのくらい減らせるかとの推計も初めて盛り込んだ。
 今回の想定では最悪の場合、揺れにより全壊する建物は8万1000棟で、死者は3200人。1981年に導入された耐震基準を満たす住宅の割合(耐震化率)を2020年時点の92%から100%にできれば、全壊建物、死者とも6割減らせるとした。
 火災により焼失する建物は最大で11万8000棟、死者は2500人と想定。これに対し、住宅への消火器や火災報知機の設置を進め、地震の揺れを感知して電気を止める「感震ブレーカー」の設置率を20年の8.3%から25%に上げると、焼失建物、死者とも7割減らせるとした。
 家具などの転倒防止対策を適切に行うと死者がどれくらい減るかの推計もした。今回の被害想定の死者は最悪の場合、240人。対策実施率が20年の57%から75%になると、4割減るとした。
 都の担当者は「取り組めば取り組んだだけ効果が出る。都民1人1人にはできる対策をしてほしい」と呼び掛けた。(加藤益丈)

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