足立で昨年閉業「キングオブ銭湯」 大黒湯の屋根を寺に移築へ

2022年5月26日 07時14分

大黒湯の建物の一部が移築される安養院の内藤良家住職=足立区千住の安養院で

 荘厳な造りから「キングオブ銭湯」の愛称で親しまれ、昨年六月、九十二年の歴史に幕を閉じた足立区千住寿町の「大黒湯」。その建物の一部を同区千住の寺「安養院」に移す取り組みが始まった。移築保存の費用の一部をクラウドファンディング(CF)で六月末まで募っている。(三宅千智)
 大黒湯は一九二九(昭和四)年創業。寺や神社のような重厚な造りが特徴で、建物正面には弓なり状の唐破風(からはふ)屋根、三角形の千鳥破風屋根が施されていた。
 その荘厳さから、銭湯研究の第一人者として知られる庶民文化研究家の町田忍さんが「キングオブ銭湯」と名付けた。大黒湯のような「宮造り銭湯」は東京周辺の銭湯に多くみられ、関東大震災後、復興の願いを込めて宮大工が腕をふるったのが始まりとされる。
 閉業が決まった大黒湯には建物の有効活用を求める声が多く寄せられた。近くの安養院の内藤良家(りょうけ)住職(74)もその一人で「貴重な文化財を何とか残したい」と考えていた。建物の取り壊しが始まる直前の今年二月、唐破風屋根などを安養院に移築保存することを大黒湯の店主に提案し、承諾された。
 唐破風屋根と千鳥破風屋根を安養院の玄関屋根に付け替える工事が四月三十日に始まった。移築保存の総費用は約二千万円かかる見通し。うち三百万円をCFで募る。
 「大黒湯を愛した多くの人にこの企画を知ってもらい、ご縁の輪を広げたい」と内藤住職。移築が完了する秋ごろにお披露目会を計画している。CFは専用サイト「CAMPFIRE」で「大黒湯」で検索。

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