身長142センチのレスラーがリングに上がる…低身長症の「こびとプロレス」が新団体旗揚げ

2022年5月27日 06時00分

昨年出演した映像作品「MAZEKOZEアイランドツアー」でこびとプロレスの対戦をしたプリティ太田選手(左)とミスター・ブッタマン選手(一般社団法人Get in touch提供)

 全日本女子プロレスの前座などで興行が行われていた低身長症で体が小さなレスラーによる「こびとプロレス」を再生するため、新たな団体「椿つばきReINGzリングズ」が28日、東京都大田区で旗揚げ興行を開催する。ここ20年ほど、国内でレスラーとして活動してきたのは2人だけ。特徴のある体を見せることに、かつては批判もあったというが、価値観の多様化を背景に新たな地平を拓けるか―。(神谷円香)

 低身長症 身長が平均値より大幅に低くなる症状をいう。国立成育医療研究センターによると、ホルモンの異常などさまざまな要因があるが、原因がはっきりしない特発性が多い。病気によっては相対的に頭が大きく手足が短くなる特徴がある。幼児期までは合併症も多いが、成長するにつれ体のバランスが取れ、たいていの運動も可能になる。

◆興行の場失った時期も

 身長142センチのプリティ太田選手(44)=茨城県行方市=が反対する親を説得し、こびとプロレスの門をたたいたのは2004年。当時、1970~80年代に10人ほどいたスター選手は退き、現役はミスター・ブッタマン選手だけ。2005年に全日本女子プロレスが解散すると、見せ場をほぼ失うような状況だった。
 こびとプロレスを長く取材したルポライター高部雨市たかべういちさん(72)によると、全盛期には、小さな体だからこそできる小回りの利いた素早い技を見せ、プロレスファンを楽しませた。女子レスラー伊藤薫選手(50)は「ガチガチの格闘系の女子プロレスの合間に登場すると、テンポの良い動きに和んだ。笑いものではなく、見せ場で笑える感じだった」と振り返る。偏見はなく、仲間として「普通に」受け入れていたという。
 ただ、バラエティー番組に出演すると、「見せ物にするな」などと視聴者からクレームが入り、メディアへの露出は少なかったと高部さん。高部さんの原稿も出版社になかなか採用されなかったという。

2017年のイベント「月夜のからくりハウス」で披露されたこびとプロレス(一般社団法人Get in touch提供)

◆東京五輪・パラの文化プログラムきっかけ

 そんな中、17年、車いすのダンサーや全盲の落語家らとともに出演したイベントで注目を集めた。昨年は東京五輪・パラリンピックの文化プログラムの一環で、映像作品に出演した。
 映像作品の撮影に協力した「つばきHOLDINGS」(東京都台東区)の大木信夫会長(50)が「ビジネスとして継続することが大事」と施設を提供。クラウドファンディングで資金を集め、昨年12月、団体立ち上げとともに大田区に専用リングが完成した。
 小さな体を指さされ、嫌な言葉を投げられた経験は太田選手にもある。だが、リングに立つことに抵抗はなかった。「ちゃんと見せられるプロレスをしたい。後輩ができれば、こびとプロレスは存続する」

28日に旗揚げ興行に臨むプリティ太田選手(左)と伊藤薫選手=12日、東京都大田区で

 旗揚げに向け、太田選手は伊藤選手らにプロレスの動きや体づくりの基本を改めて教わっている。プライドを持ってリングに立った往年のレスラーを知る高部さんは「どこまで芸を高めていけるか」と再生を見守る。
 旗揚げ興行は午後2時から。太田選手とミスター・ブッタマン選手が対戦。ほか、太田選手とザ・グレート・サスケ選手が組んでダンプ松本選手らに挑む。観戦はオンラインの生配信で。手話通訳付き。アーカイブ配信もある。視聴チケット3300円。購入・詳細は「椿リングズ」で検索。問い合わせはつばきHOLDINGS=電03(5830)7234=へ。

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