「外苑の森を守れるか」委員から指摘相次ぎ、異例の結論持ち越し 都の環境アセス審議会

2022年5月27日 06時00分
 1000本近い樹木伐採を伴う東京・明治神宮外苑地区の再開発計画を巡り、都環境影響評価審議会の部会が26日に開かれ、専門家の委員から「データ提供が足りない」などと苦言が相次いだ。この日で事業者への質疑と総括審議を終える予定だったが、事業者が保存するとしているイチョウ並木についても懸念が噴出。部会長の斎藤利晃日本大教授が「外苑の森が守られるか、現段階では極めて不透明だ」と指摘するなど、委員の疑念が払拭できず、異例の結論持ち越しとなった。(土門哲雄、森本智之)
 審議会は今月中に審議結果を小池百合子知事に答申する予定だった。都によると、環境影響評価制度に基づき、知事は6月上旬までに審査意見書を事業者に送付する必要がある。
 事業者の環境影響評価書案によると、伐採樹木は971本。委員からは伐採予定の樹木の高さや活力度などの詳しい情報を求める声が相次いだ。

◆「情報を小出しにされると…」と苦言

 東京都市大の横田樹広教授は「伐採する樹木の情報が開示されないと、環境への影響について客観的評価ができない」と強調。一本一本の状況を確認した、事業者が実施済みの「毎木調査」結果の提供を求めた。
 事業者の三井不動産側は難色を示し、最終的に応じるとしたが、斎藤部会長が「情報を小出しにされると予測評価が適切にされているか疑念が生じる」と苦言を述べる場面もあった。
 三井側は樹木の保存については「樹木医の意見を聞きながら、一本でも多く保全していく」などと従来の見解を繰り返した。

◆「森が守られるかは不透明」

 シンボルのイチョウ並木についても、移転して建て替える神宮球場が接近することになるため、工事で樹木の根に悪影響が及び生育が阻害される懸念について質問が相次いだ。事業者は着工前に根の調査をするなどの説明にとどまり「後でやっぱり無理となるのでは」「空約束だ」などと批判された。
 計画を巡っては日本イコモス国内委員会が4月、伐採本数を大幅に減らす試案を公表したが、事業者側は「この案では5年はラグビー場が使えなくなる」と難色を示した。
 委員からは計画について市民への公表が遅れていることにも苦言が相次ぎ「事業者と都民の間に相互不信がある」との指摘も。審議会会長の柳憲一郎明治大名誉教授は今後の事業の進め方について「都民参加の機会が必要ではないか」と提案し、事業者側は検討するとした。

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