海自護衛艦中東へ「情勢心配」「無事に帰ってきて」 家族、不安の船出

2020年2月3日 02時00分

乗組員の家族らに見送られ、中東海域に向け出航する護衛艦「たかなみ」=2日午前10時51分、神奈川県横須賀市の海上自衛隊横須賀基地で

 中東海域での情報収集活動に当たる海上自衛隊の護衛艦「たかなみ」が二日、横須賀基地(神奈川県)を出航した。米国とイランの対立で現地の情勢が不透明さを増す中、家族にとっては不安の船出となった。一方、基地の外では市民らが反対の声を上げた。 (荘加卓嗣、村松権主麿)
 出発を前に舷側に整列する隊員たちの中には、岸壁に家族を見つけて目を潤ませ、逆に家族から「何で泣いてるの」と励まされる若い隊員の姿も。午前十時四十分すぎ、音楽隊が行進曲「軍艦」(軍艦マーチ)を奏で、もやいを解かれた艦がゆっくり離岸した。
 タグボートに引かれて沖合へと小さくなっていく艦影に、家族たちは手や旗を振り続けた。派遣部隊指揮官の稲葉洋介一等海佐(48)は出国行事前の記者団の取材に「(隊員家族には)これからも丁寧に説明して、われわれの任務について理解をいただければと思う」と語った。
 海自は一月中旬以降の週末、派遣隊員の家族に対する説明を行ってきた。二十五日の会には河野太郎防衛相も出席。家族からは「派遣中の隊員と、どうやって連絡できるのか」「孫にとって初めての海外任務だが」といった質問や不安の声が出たという。
 年明け早々には、米国がイラン革命防衛隊のソレイマニ司令官を殺害し、イランは報復攻撃を行った。別の日の説明会では、中東情勢の緊迫を心配する声も上がったという。山村浩海上幕僚長は「『直ちに(衝突に巻き込まれた)日本関係船舶を防護する状況にない』と説明している。隊員が安心して任務に専念できるよう、家族支援に全力を尽くしていく」と話す。
 二歳の子どもを連れて三十代の夫を見送った女性は「情勢について不安はある。説明はあったけど、子どもがぐずってよく聞けなかった」と明かす。二十代の隊員の妻は十カ月の男児を抱き「(夫は)昨日は『帰って来たら三人でどこか行きたいね』と言っていた。帰って来るころにはこの子も歩いているかも。寂しい」と話した。
 娘婿を見送った女性(69)は「『軍艦マーチ』は嫌で涙が出た。父が行った戦争を連想させる」と顔を曇らせた。一方で「この仕事を選んだからには仕方がない。無事に帰って来てほしい」と願った。

◆「派兵NO」市民ら200人が抗議 公園、海上で

 横須賀基地が目の前にある公園では、中東派遣に反対する市民ら約二百人が「中東派兵NO」「憲法違反」と書いた紙を掲げ、抗議活動を行った。
 周囲に警察官が並ぶものものしい雰囲気の中、マイクを握った参加者は「日本が戦争に巻き込まれ、自衛隊員が戦争をしてしまうかもしれない恐ろしい事態だ」とアピール。「たかなみ」が出航すると、「中東に行くな」「今すぐ戻ってこい」などとシュプレヒコールを繰り返した。
 海上でも、ヨットなどを使った活動をしている市民団体「ヨコスカ平和船団」が二隻を出し、「中東へ行かないで」と呼び掛ける横断幕を掲げ、派遣反対を訴えた。(村松権主麿)

護衛艦「たかなみ」の中東派遣に抗議する人たち=2日、神奈川県横須賀市で

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