<社説>中国脅威論拡大 覇権主義的行動改めよ

2022年5月27日 07時03分
 中国の「力による現状変更」を断じて容認しないという強いメッセージと言える。二十三日の日米首脳会談後の記者会見で、バイデン米大統領が台湾有事の際には軍事関与することを明言した。
 中国政府は「強烈な不満と断固とした反対」を表明したが、法の支配を基本とする国際秩序の形成に積極的に関わるべきである。
 バイデン氏の発言は、中国が台湾に武力行使した場合の対応を明確にしない従来の「あいまい戦略」より一歩踏み込んだように映る。ロシアのウクライナ侵攻後、力による現状変更の危険性が高いのは台湾海峡であるとの認識に立って対中けん制したといえる。
 台湾武力統一の選択肢を放棄していない中国は、台湾海峡の緊張を高める行為をやめるべきだ。
 米政府はバイデン氏の発言後「台湾政策に変更はない。バイデン氏は一つの中国政策と台湾海峡の安定と平和への関与を再確認した」と補足した。中国が絶対に譲れないと言う台湾独立を認めるような政策への転換ではないという趣旨だ。中国はそれを冷静に見極め、過剰反応するべきではない。
 中国による南シナ海での覇権主義的な実効支配の拡大や、沖縄県・尖閣諸島周辺海域での挑発行為も目に余る。最近では南太平洋の島しょ国との安保協定締結が軍事拠点化の布石ではないかと、国際社会に新たな疑念も生んでいる。
 二十四日の日、米、豪、印四カ国による「クアッド」首脳会合でも中国の覇権主義的な行動への反対が示されたのは当然といえる。
 日米首脳会談について、中国政府は「米日は冷戦思考に固執し、徒党を組んでいる」と反発した。
 日米にとって脅威への対抗は当然だが、過度な圧力は得策ではあるまい。中国が敵視され、孤立化させられようとしているとの認識を一方的に強めれば、緊張を高めることになる。例えば、南シナ海での領有権紛争を防ぐルールである「行動規範」策定への関与を強く促すべきだ。
 戦略的に、法の支配を尊重する国際社会に中国を取り込むような方策を探り続けてほしい。

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