ゴーン被告に逮捕状 不正出国疑い 逃亡協力3容疑者も

2020年1月31日 02時00分

カルロス・ゴーン容疑者が逃亡の際に隠れていた箱=イスタンブール警察提供、ゲッティ・共同

 日産自動車の前会長カルロス・ゴーン被告(65)がレバノンに逃亡した事件で、東京地検特捜部は三十日、日本から不正に出国したとして、入管難民法違反の疑いで、ゴーン被告の逮捕状を取った。逃亡に協力したとされる米国籍の男三人についても、同法違反ほう助と犯人隠避の疑いで逮捕状を取った。
 法務・検察当局は既に、会社法違反(特別背任)などの罪で起訴されながら国外逃亡したとして、国際刑事警察機構(ICPO)を通じてゴーン容疑者を国際手配している。日本とレバノンは容疑者の身柄引き渡しに関する条約を結んでおらず、日本に引き渡される可能性は低い。
 特捜部によると、ゴーン容疑者は保釈中だった昨年十二月二十九日午後十一時ごろ、トルコ経由でレバノンに渡航しようと、入国審査官の確認を受けずに、関西空港からプライベートジェット機で不法に出国した疑いがある。
 また、いずれも米国籍で米陸軍特殊部隊グリーンベレーの元隊員マイケル・テイラー(59)、職業不詳ジョージ・ザイエク(60)、職業不詳ピーター・テイラー(26)の三容疑者は同日午後一時~十一時ごろ、ゴーン容疑者を箱に隠すなどして機内に連れ込み、不正出国を手助けしたとされる。
 マイケル、ザイエクの両容疑者は逃亡当日、出国までゴーン容疑者と行動を共にしていた。ピーター容疑者はマイケル容疑者の息子とみられ、逃亡前日までゴーン容疑者と打ち合わせを重ねていたとされる。
 ゴーン容疑者側が東京地裁に提出した面会記録の写しには、弁護人だった弘中惇一郎弁護士の事務所で昨年七、八月、ピーター容疑者と計四回面会していたことが記されていたという。特捜部は事務所内で逃亡計画が練られたとみている。

◆識者「検察のパフォーマンス」

 東京地検特捜部は、レバノンから引き渡される可能性が低いにもかかわらず、ゴーン容疑者の逮捕状を取ったことを公表した。逃亡先で日本の司法制度批判を繰り返しているゴーン容疑者に対し、「あくまでも不法行為者だ」と強調するのが目的という。識者からは「パフォーマンスだろう」と疑問の声も上がる。
 特捜部が逮捕状を取った段階での異例の公表に踏み切ったのは、偽証容疑が持たれているゴーン容疑者の妻キャロル・ナハス容疑者(53)に続き二度目だ。
 特捜部の市川宏副部長は三十日、「不法に国外逃亡しながら、その原因を根拠のない司法制度批判にすり替えている。不法出国の事実を可能な限り明らかにしようと考えた」と、報道陣に発表の理由を説明した。
 ゴーン容疑者はレバノンでの会見で、日本の司法制度を「アナクロ的な人質司法」と評し、「毎日何時間も尋問を受け、自白を迫られた」「地獄のような体験だった」と批判していた。
 この日は地検の斎藤隆博次席検事も、定例会見で「逃亡が正しいことであるかのような誤解は避けたい。被疑者ゴーンは日本で裁判を受ける立場なのに、三人の助力を得て逃亡したということを理解してほしい」と求めた。
 神戸学院大の春日勉教授(刑事訴訟法)は「現実的に逮捕は難しいと言わざるを得ず、公表したことは検察のメンツを保つためのパフォーマンスでしかない」と受け取る。「今回の逃亡劇によって、日本のずさんな出入国管理態勢がつまびらかにされた。不法行為を強調することで、批判をかわそうという思惑もあるのではないか」と推察した。 (山田雄之、山下葉月、小野沢健太)

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