「日米同盟」と言うけれど

2022年5月28日 07時55分
 今週初め、日本を舞台に活発な外交が展開されました。日米首脳会談と、続く日米豪印四カ国「Quad(クアッド)」首脳会合です。
 ウクライナに侵攻したロシア、軍事的に台頭する中国、核、ミサイル開発を進める北朝鮮などをにらみ、米国を中心に結束を固める狙いです。
 岸田文雄首相は記者会見で「バイデン大統領とは、日米同盟の抑止力、対処力を早急に強化する必要があることを再確認した」と述べました。
 また「敵基地攻撃能力の保有」を含む防衛力の抜本的強化と、防衛費の相当な増額も表明したのです。
 本紙は二十四日社説「安保強化は9条枠内で」で「日米安全保障条約体制の意義は理解するとしても、専守防衛を逸脱することは許されない。抑止力や対処力の強化を、憲法九条の枠内にとどめるべきは当然だ」と訴えました。
 読者からは「同盟強化には多額の予算が必要なので十分な議論が不可欠」「防衛費の増額で国民を守ると言うが、年々減額される年金を上げた方が国民を守ることになる」との声が届いています。
 首相発言のように政府は日米関係を「同盟」と表現してきました。軍事同盟の代表例は、現代では北大西洋条約機構(NATO)でしょう。
 ただ、東京新聞の社説では日米関係を「同盟」とすることは極力避け、「日米安全保障条約体制」と表現することを心掛けています。
 日本は米軍に基地を提供していますが、憲法九条で戦争を放棄し、米国を軍事的に守る義務はありません。双務的ですが、相互防衛義務を負う他の同盟とは異なります。
 かつて、鈴木善幸首相が同盟には軍事的意味合いは含まないとの見解を示し、反発した伊東正義外相が辞任したこともありました。同盟とはそれほど重い言葉です。
 政府が近年、日米同盟という言葉を頻繁に使うようになった背景には、日本の軍事的存在感を強め、集団的自衛権を行使して、米国の戦争に参戦できるようにしたいとの意図を感じざるを得ません。九条形骸化の動きです。
 「同盟」という言葉を安易に使えば、政府のもくろみを追認することになります。たかが二文字、されど二文字。本紙のささやかな抵抗に、一人でも多くの読者が気付いてくれたら幸いです。 (と)

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