国語試験時間80分に短縮 数学は変更なし 来年の「大学共通テスト」方針

2020年1月30日 02時00分
 文部科学省と大学入試センターは二十九日、来年の「大学入学共通テスト」について、国語、数学の記述式問題の見送りを受けた変更を発表した。国語は大問の一つが丸々なくなり、試験時間も二十分短縮される。数学は試験時間は変わらず、出題の分量なども大きく変更しないとしている。
 今年まで実施された大学入試センター試験の国語は、四つの大問を八十分で解く二百点満点だった。共通テストでは時間を二十分延長し、記述式の小問三問で構成する大問一つを加える予定だった。マーク式の部分は二百点満点そのままで、記述式は点数表示せず五段階で成績を表示するとしていた。
 発表された変更では、記述式の大問は削除し、それ以外の大問四問でテストを実施する。試験時間もセンター試験と同じ八十分に戻す。文科省によると、記述式問題を別の問題に差し替えて大問数を維持することも検討に上ったが、新しい出題方法を考えるにはテストまで時間がないと判断したという。
 数学Iと数学I・Aは、センター試験より十分長い七十分の試験時間は変えず、分量なども大きく変更しない。国語と違い、記述式とマーク式が同じ問題の中に混在する形で、一部の問題だけ削除することは困難だった。
 「思考力、判断力、表現力」を測るとして記述式は導入された。見送りになったことについて、センターや文科省は「マーク式でも測れる」としている。
 共通テストは、昨年十一月に英語の民間検定試験、同十二月に国語・数学で記述式問題の見送りが決まった。英語については見送りを受けた変更はないことを昨年中に発表したが、国語と数学については方針が決まっていなかった。

◆南風原朝和・東大名誉教授「バランスの悪い飾り取れた」

 来年実施の大学入学共通テストは、鳴り物入りだった「記述式問題」や「英語民間検定試験」が見送られ、それらに代わる新たな出題もなく、現行の大学入試センター試験に近い姿になった。南風原朝和・東京大名誉教授(テスト理論)は「バランスの悪い飾りが取れ、やっと通常運転に戻った」と指摘する。 (柏崎智子)
 -文科省などが発表した方針の変更をどう見るか。
 記述式問題が共通テストに必要なかったことが浮かび上がったと思う。テストを車にたとえると、記述式がもしタイヤなら、走るのに必要だから絶対外せない。しかし、ぽこっと外せた。なくてよい「飾り」だったからだ。
 記述式は採点の仕方で点数がいかようにも変わり、平均点のコントロールや大勢の受験生の幅広い学力の識別に使うのは難しい。なくなっても、テスト全体の妥当性は失われない。むしろ、実施に一万人の採点者が必要だったことなどを考えると、記述式は車本体のバランスを崩すほど大きな飾りだったといえる。取り外してようやく普通に走れるようになった。
 -記述式がなくても思考力など学力の三要素を測れるか。
 文科省は「思考力、判断力、表現力」が必要だと繰り返し言うが、実は裏付けがない。弱い根拠で記述式の導入が決まり、実施が目的化してしまった。
 入試改革の理念が本当に正しかったのか、立ち返る必要がある。マーク式も問題に会話文を多用するなど出題方法が変わったり、英語も問題構成が変わって、そのためにテストとして劣化した可能性がある。しかし、実施まで一年を切り、ここも見直すのは受験生をさらに振り回すことになってしまう。記述式と英語民間検定試験の見直しが遅れたことが悔やまれる。
 -ここまでの経過で感じることは。
 共通テストの実施主体は参加大学だが、今回の変更を含め、総意が反映されているようには見えない。大学の知性と主体性が問われている。
<はえばら・ともかず> 文科省「高大接続システム改革会議」で委員を務め、共通テストの問題点を指摘。日本テスト学会副理事長。

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